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S
フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
チャイコフスキー:交響曲第5番〈悲愴〉


Furtängler
Berlin Philharmonic Orchestra

Tchaikovsky:Symphony No.6'Pathetique'

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MONO
録音1938年10月25-27日 ベルリン Beethovensaal
国内盤、EMI Japan
SACDハイブリッド

2枚折デジパック。ブックレットにはライナー、浅里公三「SACDで聴くフルトヴェングラー」、増田良介「今なお、聴き手に深い感銘を与え続ける《悲愴》の名盤」。

38年録音なのに、金属原盤のゴリゴリとした音が快感

 フルトヴェングラーの〈悲愴〉は、今のところ2つしか知られていないそうです。1951年のカイロでのライヴ録音。そして本作の1938年のセッション録音(ベルリン、Beethovensaal)。

 この戦前の1938年録音のほうが古いのですが、長く親しまれてきた演奏のようです。
 実際このSACDを聴いてみると、1938年録音にしてはクオリティは高いと思いました。
 というか、この年代の録音にもかかわらず「SACDの音を堪能する度合い」では、50年代録音のSACDと同等なのに驚いてしまいます。

 なんといっても、金属原盤から発せられるゴリゴリとした音が快感。
 タップリと味の染み付いたタクアンを食べているような、歯ごたえです。
 一部にでる「サーフェイス・ノイズさえ気持ちいい音の出方」と言ったら、信じてもらえるでしょうか。ヒス・ノイズも気になりません。

 このSACD、音質的には、聴くのにまったく躊躇しない仕上がりで、戦前のフルトヴェングラーの演奏、珍しいチャイコフスキーの演奏を伝える、喜びの一枚になりました。

 フルトヴェングラーのチャイコフスキー

 さてフルトヴェングラーの〈悲愴〉です。
 ドイツ音楽の権化のようなフルトヴェングラーが、ロシア音楽を振るとどうなるか。

 聴いた感じは、時折「ロシア音楽なのに、ベートーヴェンやブラームス風だなあ」と思う箇所があるのですが、個人的には、そんなに気にするほどではありませんでした。
 〈悲愴〉自体が、ドイツの交響曲にかなり近い構造になっているからかもしれません。実際、僕たちも〈悲愴〉なら、ブラームスの交響曲を聴くのと同じような期待をこめている気がします。
 この演奏にくらべると、同じチャイコフスキーの交響曲第4番の録音のほうが、かなり“ドイツ風”の違和感を覚えたものです(いずれSACDのレビューしたいですが)。

 それでもフルトヴェングラーが好んで取り上げただけあって、フルトヴェングラーの様式を堪能できます。
 第2楽章のワルツ風5拍子。中間部ではテンポを落として、暗い印象を強くする(ドイツ風?)。

 第3楽章の行進曲。
 たいがいの指揮者がクライマックスに向けて、一直線に盛り上げ、拍手喝采を狙うのですが、フルトヴェングラーはクライマックス寸前、いったんローギアにして(おいおい、エンストさせるのか?)、そこから一気に超加速。
 終わってみれば、一馬身早くエングィング。フー、やっぱりフルヴェンでした。

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2012.6.8