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ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団
ベートーヴェン:交響曲第6番〈田園〉

1958年録音

国内盤、ソニークラシカル

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パッケージ写真はオリジナルのものであろう。70年代、アナログでさんざん見たジャケットよりは格段にいい。牛さんがんばれ。

現在、スーパーオーディオCDで発売されているワルターは次のとおり。
『ベートーヴェン:交響曲第6番〈田園〉』
『ブラームス:交響曲第4番』
『シューベルト〈未完成〉/ベートーヴェン〈運命〉』
『モーツァルト交響曲台38番〈プラハ〉/交響曲第40番」

交響曲第6番ではなく「田園」と呼ぶにふさわしいワルター盤

 

 クラシック・マニアは、一生に何人の指揮者で〈田園〉を聴くのかなあ。
昔は〈田園〉の推薦盤といえば、いつも一番にあげられていたのが、このワルター指揮コロンビア交響楽団のレコードだ。第9ならフルトヴェングラー、「田園」ならワルター、といつも、いつも決まっていて、「もっと新しい録音でいいのもあるだろう!」と評論家に反発したこともあったが、スーパーオーディオCDでこのディスクを聴くと、「ああ、〈田園〉は、やっぱワルターでいいや」と思ってしまうのである。

 第1楽章《田舎へ着いたときの愉しい感情のめざめ》の冒頭のメロディーを聴いたら、もうワルターの世界に引き込まれて、最後まで聴いてしまう。アナログだとそこまでじゃ、なかったけどなあ。スーパーオーディオCDだと、いつもその気はないのに、このディスクは最後まで聴いてしまうのだ。
 第5楽章《牧人の歌》がわたしには、一番涙もので、ほんとに泣くわけじゃないけど、心の中では「アアア…」と喜びにひたっているのである。
 ひっきょう、他の指揮者だと、ただの“交響曲第6番”だけど、ワルターで聴くと“田園”なんだなあ。この交響曲は第4楽章《雷雨、嵐》以外は、心の表題音楽ともいうべきもので、ワルターは、なんともうまくそれを紡ぎだしてくれているように思える。
 ワルターの為に集められたコロンビア交響楽団は、「レコーディングの為の寄せ集め」だの、「いやいや、ワルターに心酔していた人が集まったから、演奏は情熱のあるものだ。有名なオケの人もいるよ」だのいろいろ言われるが、〈田園〉ではもちろん文句なし。

スーパーオーディオCDは、録音されたテープを聴いている感じ

 1958年録音だから、今どきありえないオンマイクな音。それがいい。
 スーパーオーディオCDでも、ヒスノイズはもちろん残っているが、アナログでここまでの音を出そうとすると、大変な苦労になると思われる。状態の良いオリジナル・レコードを探し、オルトフォンのカートリッジで鳴らせば、それは、いい音になると思うが、今どき、経済的にそこまでは無理だ。
 確かに、いいカートリッジで聴くレコードの音は、独特で素晴らしいが、そもそもスーパーオーディオCDの場合、レコードというより、録音されたテープを聴いているような感じだから、アナログ・レコードの音と比べるのは、ちと違うような気がする。
 コロンビア交響楽団の弦の数は少ないと思われ、ニューヨーク・フィルに比べるとがさついた感じはいなめないが、CDほど硬くならない点で、スーパーオーディオCDのほうが断然救われている。
 このSACDは、ワルターを聴き続ける者にとっては、最上の音で聴け、幸せ。買ってよかったなあ、と思うディスクでした。これ中古で買ったんだよねえ。ほんといいもの買った。

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ワルターのSACD
シューベルト:交響曲〈未完成〉、ベートーヴェン交響曲〈運命〉/ワルター指揮ニューヨーク・フィル&コロムビア交響楽団
ワルターの棒でロマンチックにゆれる〈未完成〉
Amazon(国内盤) Amazon(輸入盤)
ブラームス:交響曲第4番/ワルター&コロンビア交響楽団
SACDは豊かな中音域、低音、そして空間を感じる再生音
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モーツァルト : 交響曲第38番「プラハ」&第40番
名作「プラハ」と40番のカップリング。

2004.7.13