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S
冨田勲
PLANETS ZERO ~Freedommunesession with Dawn Chorus

ディスク
ISAO TOMITA
PLANETS ZERO

(4ch)
国内盤 DENON
SACD Hybrid

Amazon 

普通のプラケースにブックレット。ブックレットにはライナー、宇川直宏「歴史を重ねて更新される大名盤〈冨田勲/惑星〉による新しい起点=0〈ZERO〉とその風景」、冨田勲「幻のコンサートを、このディスクで」、漢那拓也「現代によみがえった〈ドーンコーラス〉」。

I.Reincarnation - 転生 1 Reincarnation (Itokawa and Hayabusa) - 転生(イトカワとはやぶさ)
2 Eternity ("Liebestod" from "Tristan und Isolde") - 永遠性(”トリスタンとイゾルデ”より”愛の死”)

II.Journey - 旅  
3 Mars - 火星  
4 Venus - 金星  
5 Mercury - 水星

III.Dawn - 夜明け  
6 Jupiter - 木星  
7 Rising Sun - 日の出  
8 Saturn - 土星
天王星・海王星は収録されません。 冨田 勲(シンセサイザー) 
本間千也(トランペット)

宇宙に前後左右はないように、冨田サラウンドも360度サラウンド

 本作はもともと、冨田勲が夜明けにおこなわれる「震災復興支援イベント」のために制作したものです。残念ながらイベントは雨で中止になり、作品を惜しむ声から、このSACDが制作されました。

 冨田勲は全方向が平等なサラウンドを理想としてしています。
 本作でも、ベース音など、基本はフロントにあるとは思うのですが、センタースピーカーを排除して、「前後左右の4面が、平等なStereo」になっているとお考えください。

 リスニング位置は、真ん中にこだわる必要はなく、冨田氏も「どの位置で聴いても、大丈夫なサラウンドに作ってあります」とのこと。
 それくらいサラウンドの完成度は高いです。宇宙に前後左右はないように、このサラウンドも360度サラウンド。ときに「浮遊感」も感じるほどでした。

 ですので、できればサラウンドのリスニングをおすすめします。
 冨田氏も、「数万円で揃う小型スピーカーセットでも、十分、作品の意図は伝わります、ぜひサラウンドで聴いてほしい」とのこと。

『Planet Zero』の音楽と構成

『Planet Zero』は、『惑星 Ultimate Edition』の曲を使っていますが、イベントでの演奏時間が明け方、東日本大震災の被災者へのレクイエム、という点を考慮して、別の冨田作品に仕上っています。

 なんといっても、太陽の黒点からの電波を収録した“ドーンコーラス”が印象的。明け方の森の小鳥たちの鳴き声のようで、シンセサイザーの音と見事に溶け合います。
 そして、随所で重ねられた本間千也のトランペットが、哀愁を醸し出しています。

 第1部「Reincarnation - 転生」は、そんな“ドーンコーラス”をバックに、哀愁漂う「 イトカワとはやぶさ」で開始され、「トリスタンとイゾルデから“愛の死”」へと、ゆったりとした音楽世界。

 第2部「Journey - 旅」は、「火星」「金星」「水星」。静謐な「金星」は短めにカットされ、第1部と対照的に、躍動感を印象づけます。「水星」は、音がパレットから飛び出したような、素晴らしいサラウンド。

 第3部「Dawn - 夜明け」は、「木星」を中心に、夜明け、未来への希望に浸ります。再び“ドーンコーラス”や、「イトカワとはやぶさ」のメロディがあらわれ全体をしめくくります。短めの「土星」は、コーダの役割といったところ。余韻をもって、音楽は消えていきます。

Amazon ¥2,100

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2011.11.30