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エサ=ベッカ・サロネン指揮&ロサンジェルス・フィルハーモニック
ストラヴィンスキー:春の祭典 他

ムソルグスキー:禿げ山の一夜(原曲版)
バルトーク:中国の不思議な役人(組曲版)
ストラヴィンスキー:春の祭典(1947年版)
録音:2006年1月:ロサンジェルス、ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール

輸入盤、ユニバーサル

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解説書にはディズニー・ホールのディズニーとからめて、ディズニーの映画「ファンタジア」とそこで使用された「春の祭典」のこと、ストラヴィンスキーのこと、が書いてあるみたいだが、英語なので解読できず。ざんねん。

ムソルグスキーのオリジナルがいい「禿げ山の一夜」

 ユニバーサルのドイツ・グラモフォンから新譜のSACDがでましたので聴いてみました。サロネンのひさびさのディスクです。

 まず1曲目、ムソルグスキー原曲による「禿げ山の一夜」でおどろきました。
 「リムスキー・コルサコフ編曲とぜんぜんちがうやないか!」
 初めて聴きましたが、いつも聴いているリムスキー・コルサコフ編曲のポップさはここにはない。エンディングからなにから、ぜんぜんちがう曲ですね。
 ムソルグスキーのオリジナルはすごく素朴で、ムソルグスキーの体臭が感じるくらい。僕はこちらのほうが断然気に入りました。もちろん、このある意味(デモみたいな)未完成ぽい曲を“クラシック名曲100選”に入る作品に仕上げたリムスキー・コルサコフの腕は賞賛すべきですが。

やわらかい音の「春の祭典」だが、これも「春の祭典」だ

 さてメインディッシュ「春の祭典」(1947年版)。
 第1部。ディズニー・ホールの響きをふくんでいるせいでしょうか、音がとてもやわらかいです。なので金管も強烈にこない。「春の祭典」のレコードはみんな、これみよがしに、切れ味のするどい音で攻めてきますが、これはちがいますね。
 でも第2部まで聴いていくうちに、だんぜん気に入ってきました。演奏もなんだか第2部のほうが、パワーがでてくる気がします(ライヴ録音です)。金管もけっこうきます。
 結局、サロネンはクールなのですが、「春の祭典」らしく、リズムは押し通しているんですね。かつての昔のブーレーズ/クリーブランド管の演奏のようでありますが、サロネンのほうが、もっとジェントルなクールという感じがします。

 音はやわらかい、と書きましたが、ダイナミックレンジはすごいですよ。とくに大太鼓(バスドラム)の重低音といったら、ずしんずしんとボディーブローできます。
 「それはマルチチャンネルのサブ・ウーファーを使っているからだろう?」
 と言われるあなた。それはちがいます。
 僕はマルチチャンネルでも、もうサブ・ウーファーは電源をいれておりません。未確認ですが、サブ・ウーファーに音は入ってないんじゃないかな。今では制作側、聴く側ともサブ・ウーファーなしの5chサラウンドが定番になっていると思います。

 話がそれました。最後に「中国の不思議な役人」もよかったです。これは組曲版のほうが聴きやすいでしょうね。「禿げ山の一夜」「中国の不思議な役人」「春の祭典」とつづくプログラムは、なんかいい流れですね。一気に聴いてしまいます。

2006.9.24