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ヤルヴィ指揮/ブレーメン・ドイツ・カンマーフィルハーモニー 
ストラヴィンスキー:〈兵士の物語〉組曲、「ダンバートン・オークス」他

Hybrid Stereo/Multi-ch DSD Recording
輸入盤、Pentatone

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ストラヴィンスキー大戦前後の名曲をいろいろ収録

 ストラヴィンスキーの〈兵士の物語〉は、LPやCDで聴いてきましたが、マルチチャンネルで聴くと格別ですねえ、やはり。というのも〈兵士の物語〉は、そもそも演じられる音楽劇でして、ステージで鳴っているように聞こえると、よりリアルなんです。

 〈兵士の物語〉が作曲されたのは、確か第一次大戦中かそのあとで、ストラヴィンスキーはお金がないので数人の編成だけで演奏できるように作曲し、これであちこちに公演にいって収入を得ようと考えていたようです(なにせヨーロッパ滞在中に、ロシア革命で財産がなくなっていまったのだ)。
 このSACDで演奏されているのは組曲版ですので、セリフ部分はカットされています。まあ、セリフはわりと退屈なので、音楽の良さを知るには組曲版が良いと思います。興味を持ったら全曲版も聴いてみてください。

 他に「ダンバートン・オークス」、「パーセル協奏曲」といったストラヴィンスキーが第二次大戦の前後に書いた管弦楽曲が収録されています。
 十二音楽派(セリー)の音楽が主流といわれた時代に、ストラヴィンスキーはあくまで新古典主義の作品を作りつづけます。
 当時は評判の良くなかった新古典主義時代の作品ですが、個人的には有名な三大バレエ時代よりも聴くことが多く、この時代特有の、冷たく燃えたところに魅かれます。
 「小管弦楽のための組曲 第1番/第2番」は、もともと簡単なピアノ連弾曲として作曲されたものですが、作曲家自らオーケストラ用に編曲した作品。これも小品ながら機知に富んだアレンジに感心させられます。
 ちなみに原曲のピアノ曲は、バイエル程度の子供でも弾ける曲。それでも「春の祭典」のバーバーリズムがきっちり含まれている恐るべき作品。それがオーケストラ用に編曲されると、そんな簡単な曲とは思えないくらい色彩豊かになるので、そこも感心します。他にも珍しい小品がいくつか収録されていいます。

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2008.4.16