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S
ジョルディ・サヴァール指揮ル・コンセール・デ・ナシオン
J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲(全曲)

ディスク
J.S.Bach : Six Concerts
Jordi Savall
Le Concert Des Nations


録音 1991年
イタリア、ジュスティ・デル・ジャルディーノ館(パドゥヴァ)
輸入盤、Alia Vox
SACDハイブリッド2枚組

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4面開きのデジパックにSACDが2枚。
ブックレットはカラー印刷。解説はフランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語(カステリヤーノ)、カタルーニャ語。
バッハの自筆、当時の銅版画、ル・コンセール・デ・ナシオンの写真などがちらほら程度。最後にAlia Voxのカタログ。

B0035GU9WK
デジパック裏

残響音はiTunesで聴くと、ほとんど耳に入らなくなります。やっぱり、いいオーディオ装置ほど再現できます。

1991年録音のSACD化

 本作はサヴァールが1991年に録音した『バッハ:ブランデンブルグ協奏曲(全曲)』のSACD化です。
 これはヘリテージ・シリーズと呼ばれ、SACD化にさいしてマルチチャンネルも制作されました。演奏は、古楽器のル・コンセール・デ・ナシオン。

 イタリアの館で録音された、豊かな響き

 まずその残響音に驚きました。
 作曲当時、この種の音楽が演奏されていたイタリアの館で録音されたらしいのですが、全体が深目の残響音。
 ホグウッドやガーディナーで親しんでいた、古楽器オケのスッキリした空間とは違いました。
 でもこれが、いいのです。古楽器独特の金属的な音が、「とろみ」のある残響のなかで、まろやかに響きます。

 各楽器のバランスが、微妙に不揃い気味なのも気にいりました。
 ブランデンブルグ協奏曲は、各パートの旋律が興奮を呼ぶ音楽で、たいがいの録音では、しっかりと浮き上がるのですが、この録音では自然体。
 たとえば第2番、トランペットもリコーダーも、あの泣きの旋律があえて埋もれ気味。それでも旋律は耳に入ってきてしまいます。

第1番からウキウキ、躍動的な演奏

 ですので残響があっても、モコモコしたものではなく、むしろ演奏はかなり躍動的です。

 とくに個人的に、ブランデンブルグ協奏曲のなかで唯一、モッタリしていると思っていた第1番が実に躍動的。こんなにウキウキする第1番を聴いたのは初めてでした。

 ヴァイオリンの名手、ファヴィオ・ビオンディの弾くヴァイオリーノ・ピッコロは、か細い音(再生音)なのに存在感あり。
 二本のホルンも第1番が“ハンティング・コンチェルト”と異名をとるのにふさわしい、ワイルドな演奏をTrack4「Menuetto & Trio: Polacca & Trio」で聴かせます。

 第1番がこれだけのノリですから、第2番以降は言わずもがな。
 残響音のなかで、これだけ生き生きと鳴り響く、サヴァールの演奏はかなりキレがいいと思います。

残響音を再現するマルチチャンネル

 豊かな残響音で、躍動するブランデンブルグ協奏曲。
 SACD2chでも堪能できるのですが、マルチチャンネルで聴くとさらに堪能できます。
 2chでは残念ながら、まだ部屋の戸口で聴いている感じ、残響音は前方から広がってきますが、自分の背後までは回り込みません。
 マルチチャンネルでは、しっかりと後ろ側に回り込み、演奏がおこなわれている部屋のなかて聴いている感じになります。
 これはあとから制作したものですが、つながりのいい自然なサラウンドだと思います。

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サヴァールのSACD
B0002XNM8W Art of Fugue (Hybr)
2012.5.14