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清水和音(ピアノ)マーツァル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番、第24番

ディスク


録音2007年
プラハ、ドボルザーク・ホール
国内盤、オクタヴィア TRITON

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角の丸いプラケースにブックレット。解説と曲目解説。

非圧縮のHIGH QUALITYディスクを採用

 まずディスクについて。 本SACDは「HIGH QUALITYディスク」と呼ばれる「非圧縮SACD」です。
 通常のSACDディスクは「ロスレス圧縮」されており、プレーヤーで解凍して再生しているのですが、この「HIGH QUALITYディスク」では解凍作業が不用のためプレーヤーの負担が軽減。再生音がよくなるという狙いです。
  非圧縮のためデーター量が増えるのでしょう、もはやクラシックSACDならあたりまえの5.1chはなし。ステレオだけの収録です(もちろんハイブリッドではあります)。

柔らかいオケの音と、ピアノの打鍵音

 聴いてみると、確かに再生音は薄く一皮むいたような伸びのよさを感じます。音質も、厚みがあるくせに、やわらかいという、なかなかのものでした。特にチェコ・フィルの弦、管楽器ともやわらかく、かなりいい音だと思います。
 ピアノは通常のピアノ協奏曲の録音よりは、接近気味の音ですが、オーケストラとのバランスがいいので気になりません。
 むしろ接近気味ゆえ、一音一音の打鍵がコツンとあたる、そのニュアンスが感じられて、ここでも音のよさを感じました。バルトークならともかく、モーツァルトを聴いて「ピアノって打楽器なのだなあ」と思うのも珍しい。

特徴的な2曲、オケ、ピアノとも堪能できる

 収録曲は第23番と第24番。第23番は晴朗なイ長調、第24番は哀しく重いハ短調(『ドン・ジョバンニ』風の不安な音楽が顔を出す)。どちらもモーツァルトの代表的な曲なのでカップリングはバッチリです。
 どちらの曲も、第1楽章前奏のオーケストラの演奏だけで、まずホレボレしてしまいます。
 チェコ・フィル、すごくいい響きとニュアンスです。特に第24番は交響的な曲なので、バッキングをオーケストラの音楽としてチェコ・フィル(そしてもちろん、モーツァルトのスコアも!)を堪能してしまいました。
 清水和音のピアノは、よくいるモーツァルト弾きの、入り口の柔らかい打鍵ではなく、どちらかと言えばゴツゴツとしたもの(先の打鍵の感想もそのせいか)。
 しかし、これもいいなと思いました。楷書のようなキビキビとした動きの中に、何度も聴くと微妙なニュアンスが吹き込まれているのに気づき、「これでちょうどモーツァルトにピッタリじゃないか」と思ってしまいました。本SACDにはダイレクトカット盤もあります(下)。

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ダイレクトカットSACD
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番&第24番(ダイレクトカット)
生産工程で3つ通すスタンパーを1つだけにして、マスターに寄り近くしたダイレクトカットSACD。完全限定盤です。
2010.4.8