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S
マルティン・フレスト(cl)、Roland Pöntien(p)、Torleif Thedëen(cello)
ブラームス:「クラリネット・ソナタ」「クラリネット三重奏曲」

ディスク
Brahms:
Clarinet sonatas & Trio

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録音2004年6月、ストックホルム
輸入盤、BIS
SACDハイブリッド

収録曲
「クラリネット・ソナタ」第1番作品120-1
「クラリネット・ソナタ」第2番作品120-2
「クラリネット三重奏曲」作品114

角の丸いプラケースにブックレット。ブックレットには英独仏語の解説。

ブラームスの晩年のクラリネット作品

 一度は引退を決意したブラームスでしたが、クラリネット奏者リヒャルト・ミュールフェルトとの出合いから、クラリネット曲を作曲しました。
 本作はそんな晩年のクラリネット曲を収録。いずれも今日では、クラリネットの代表作となっています。
 演奏はスウェーデンのクラリネット奏者マーティン・フレストです。

「クラリネット・ソナタ」第1番と第2番

 まずは「クラリネット・ソナタ」(作品120)第1番と第2番。
 あの晩年のピアノ曲「インテルメッツォ(間奏曲)」よりも、あとに作曲されたので、文字どおりブラームス再晩年の心境が宿っております。
 しかし、唯我独尊ではありません。
 クラリネットの甘い香りとともに、透明で暖かみのある旋律が、すうーと、のど元をとおるように入ってきて、とても聴きやすい曲です。

「クラリネット三重奏曲」

 「クラリネット三重奏曲」(作品114)は、クラリネット、チェロ、ピアノの編成。有名な「クラリネット五重奏曲」(作品115)と同時期の作曲です。
 ブラームスや彼の友人たちは、この「クラリネット三重奏曲」のほうを評価していましたが、今日では「クラリネット五重奏曲」のほうが人気です。

 でも僕も「クラリネット三重奏曲」のほうが、より好みです。
 第2楽章アダージョの、素朴なクラリネットと恍惚のチェロ、そっと寄り添うピアノ……。いいなあ。

 「クラリネット三重奏曲」は、室内楽として素晴らしいですが、個人的には、交響曲に通じる味わいを感じています。
 「ブラームスなら、ここはこうオーケストレーションして……」
 つい存在しないブラームスの“交響曲第5番”を照らし合わせてしまうのです。それも楽しみのひとつです。

SACDの音

 BISの録音はクラシックSACDのなかでも、安心して聴いていられます。特にマルチチャンネルは、音の広がり方がナチュラルで、海外クラシックSACDでは一番好きなマルチチャンネルです。

 「クラリネット・ソナタ」では、クラリネットとピアノの音が、綺麗に広がります。
 それでいてクラリネットの甘い音と、ピアノの強い打鍵、混沌としたペダル音など、音の描き分けが堪能できます。

 「クラリネット三重奏曲」は、管楽器、弦楽器、ピアノ。
 まるで違う個性の3つの音色が、空間の中できれいに溶け込んで聴けます。
 そのサラウンドは、ホールトーンのようでもあり、楽器音を広げるサラウンドのようでもあり。
 そこで音量をあげると、楽器が目の前にいるように、浮かび上がってきました。

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マルティン・フレストのSACD
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2012.8.20