パブロ・カザルス
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲) |

CASALS
J.S.BACH:SUITES FOR UNACOMPANIED CELLO (COMPLETE)
MONO
録音1936年〜1939年
国内盤 EMIジャパン
SACDハイブリッド2枚組
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一枚ものプラケースにSACDを2枚収録。
ブックレットには、アビイ・ロード・スタジオのサイモン・ギブソンのライナー。松沢 憲氏によるライナー「音楽家カザルスの原点〜P.カザルスの〈無伴奏チェロ組曲〉」と曲解説。
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SP時代の録音もたっぷりした音で再生、親密感も覚える音
EMIからSACD化された、クラシックの記念碑的なタイトル。パブロ・カザルスの「バッハ:無伴奏チェロソナタ」です。この録音によりバッハの無伴奏チェロソナタに新たな光が当ったのでした。
SACDの音は、演奏によりヒスノイズはあるものの、クリアでナチュラルな響き。チェロのゴツゴツした音は、十分に生々しいです。
SP時代ですのでテープ録音はまだ始まっていません。盤起こしなのですが、SACDは思った以上に、たっぷりとした音で再生してくれました。モノラルとかSP録音という意識も消えてしまいます。
収録された演奏は、録音によって音のニュアンスが違うのが、かえって印象深いです。
これらはカザルスが、1936年から1939年、スペインのフランコ独裁政権から避難してフランス領プラドに移り住んだときの録音。こんな状況下で「いろいろな時間に、録音したのだな」という思いがします。
DISK2の「第4番」など、こもりぎみの録音なのですが、これもSACDでは、なんだかノビノビした、実のある音に聴けてしまい、不思議な親密感を覚えてしまうのでした。
ひたむきな存在感に、カザルスの“刻印”を感ずる演奏
このSACDを聴いていると、タイムマシンで1936年〜1939年に戻り、カザルスが演奏する、そばにいるような気がしてしまいます。
音のリアリティは現代録音には及びませんし、臨場感も乏しいのですが、(本当に黙々と)スピーカーから鳴るチェロの音に、カザルスのひたむきな存在感を感じてしまうのです。
この演奏には、カザルスの“刻印”が押されていると思いました。
バッハの無伴奏チェロ組曲は、多くの録音がありますが、SACDを聴いて、いまだにこの演奏が特別な存在なのが分かるのでした。
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 2011.8.11
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