ドビュッシーの有名曲を集めた、児玉桃のデビュー盤
本作は、パリに在住し世界的に活躍しているピアニスト児玉桃のデビュー盤です。近年、ハイブリッド盤として再発売されました。
ドビュッシーのピアノ曲全部は、CDにして4枚分になりますが、このディスクには1枚に有名どころが選ばれているので、ドビュッシーの入門としても良いと思います。
代表作『子供の領分』、誰もが聞いたことがあるメロディー『２つのアラベスク』、有名な「月の光」を含む『ベルガマスク組曲』。そして『版画』、テレビドラマ「のだめカンタービレ」でも演奏された『喜びの島』等々、75分、一気に聴き通せる流れです。
ドビュッシーは曲ごとに目を見張る、というか耳を開かれてしまいます。同じピアノという楽器を使いながら、それまでのクラシック音楽とは、まったく別の音響を出してしまうのですからビックリです。ドビュッシーは突然変異的に現れた孤高の作曲家と思います。
マルチチャンネルで、ドビュッシーの音のパレットが迫る
本作はDSDレコーディング、マルチチャンネルも収録しています。
録音は、富山の入善コスモホールですが、マルチチャンネルは、あまりホール感はありません（響きはもちろん含まれているでしょうが）。
むしろピアノに近い距離です。まるで演奏している室内にいるかのよう。その分ピアノの音、残響、倍音が、かなり豊かにリスニングルームに広がります。ドビュッシーのピアノ曲なら、こういうマルチチャンネルは大歓迎です。
ペダルを踏んだ時の重厚な倍音の重なり。
霧のように広がる音の遊び。
やんちゃ坊主の怒りような容赦ない打鍵。
これらがパーッと跳び出してきて迫ってくる。マルチチャンネルでは、ドビュッシーの音のパレットを間近で見れる（聴ける）特等席のような気がします。サラウンドでドビュッシーは大変豊かです。
もちろん児玉桃の演奏が素晴らしいことは言うまでもありません。
 2008.1.29
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児玉 桃 impressions ドビュッシー作品集
