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S
ジョン・バット指揮ダンディンソート
J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調(リフキンによるBreitkopf & Hartel版)

ディスク
J.S.Bach
Mass in B Minor

Dunedin Consort & Players
John Butt

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録音2009年9月
輸入盤、Linn Records
SACD2枚組

三つ折りのデジパックにSACDが2枚。ブックレットのライナーでは曲の解説、リフキンの説にも触れているよう(英文なので推測)。
ラテン語歌詞に英語訳も掲載。ほかに演奏者の紹介文と顔写真がカラーで。

リフキンの提唱する1パートひとりによる、究極の美しさ

 本作は、音楽学者ジョシュア・リフキンの2006年版楽譜による『ミサ曲 ロ短調』の録音です。
 リフキンは、バッハの声楽曲の合唱は、当時「1パートひとり」で歌われたという説を発表し、80年代に音楽界に衝撃を与えました。その時にも『ミサ曲 ロ短調』が録音されましたが、本作は新たな2006年版による演奏です。

 個人的に、バッハの声楽曲で一番好きなのが『ミサ曲 ロ短調』ですので、SACDやCDもいくつかもっております。
 しかし合唱が「1パートひとり」という本録音は、僕のような「ミサ曲 ロ短調」好きでさえビックリするほどの美しい演奏でした。
 『ミサ曲 ロ短調』が「究極の美しさで聴ける」というのが、このSACDの感想でした。

 「1パートひとり」の合唱は、まるで真珠が輝いているようです。
 クリアであると同時に、筋肉質になって力強くもなった印象。
 オーケストラも、1stヴァイオリン2本、2ndヴァイオリン1本……という極小編成ですが、このオーケストラにさえ合唱がところどころ消されるにもかかわらず、充実して聴こえるのですから驚きです。

小編成をひきたてる、室内楽的空間のサラウンド

 マルチチャンネルで聴きましたが、ホールトーンは浅めです。
 「前方の音を豊かにする」または「小さな音響空間を作り出す」サラウンドといえましょう。
 合唱が小さい分、大合唱の『ミサ曲 ロ短調』の録音よりも、奏者との距離が近く、「箱が小さく」感じられる室内楽的空間です。

 このサラウンド空間が余計に「1パートひとり」に磨きをかけていると思います。
 合唱以外でも、声楽独奏で、バス、テノール、アルト、ソプラノと重なっていくさまは、まるで眼前で1本づつ、ロウソクの炎がともされていくよう。美しい…。

 ということで、このSACDは『ミサ曲 ロ短調』の愛好家にも、また、バッハは器楽曲しか聴かない、という方にもおススメできます。
 実際『ミサ曲 ロ短調』は「ブランデンブルグ協奏曲」なみに、親しみやすさと感動がありますので、ぜひ聴いてみてください。

B003GT37O8
Mass in B Minor Breitkopf & Hartel Edition

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