topaboutblogclassicaljazzpopsjpopselect
S

カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
モーツァルト:レクイエム

録音1971年4月 ウィーン

Amazon

マチス(ソプラノ)
ハマリ(アルト)
オフマン(テノール)
リッダーブッシュ(バス)

数年前、日本だけの独自企画で出たSACDシリーズのなかの1枚。マスタリングはハノーバーの倉庫に眠るオリジナルテープからしたそうです。

関係ないけどジャケット。グラモフォンはやっぱりLP時代の黄色い窓が大きいほうがいいよね。

またここに戻ってきた。ベームの〈レクイエム〉

 僕がはじめてモーツァルトの〈レクイエム〉を聴いたのは、このベーム盤のLPでして、「モーツァルトのレクイエムはすばらしい!」と大変感激しました。

 しかし、80年代になって、ガーディナーやホグウッドの演奏からはじまり、現在まで〈レクイエム〉はオリジナル楽器による、清涼で透明な演奏が主流になった。
 そうなると、僕もそっちばかり聴いていました。
 そのあいだに、このベーム盤は重厚でロマン派的なモーツァルトとして〈時代錯誤的な演奏〉になってしまったのですね(僕のなかでは、ですが)。

 しかし、このSACDであらためて聴いてみると、いいです!
 林家三平ではないが、
「20年以上も邪険にして、どーもスミマセン」である。
 たしかに、この分厚い合唱、オーケストラは「ワーグナー路線、19世紀的だなあ」と今でも否定的にみてしまう。
 でも、別にモーツァルトの時代の音そのまま、でなくてもいいでないの、と思います。
 それが〈モーツァルト〉であればいい、と思うのですが、それ以上に「これはベームの素晴らしい演奏だ」と感じ入ってしまいますね。ソロ陣も、すごくいい。
 最初、LPで聴いていたときは、ここまで演奏自体に感銘はなかったと思うのですが、オリジナル楽器の演奏を経たせいで、ベームの巨匠たるゆえんがやっと僕にもわかってきたのでしょう。
 最近〈レクイエム〉を聴くときは、このSACDばかり。またここに帰ってきてしまいました。

さらに奥座敷。SACDの音

 SACD/CDハイブリッド盤です。
 CD層も大変良い音で、聴いているとこれでぜんぜん文句なしなのですが、SACD層では、合唱の厚み、ソロ歌手の生々しさ、空気感など「さらに奥座敷があったか」という音になる。名演奏だけにこれはうれしい。

Amazon

2006.9.3