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カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ビゼー:歌劇「カルメン」(全曲)

Hybrid
録音1963年
国内盤、BMG、3枚組
〈完全初回限定生産〉
箱の厚さは3センチ5ミリくらい。中に昔ながらの3枚入りプラケース。

カラヤンの63年録音の「カルメン」全曲

 ビゼーの「カルメン」は、本当に名作ですね。有名な曲が多いので聴いていて飽きません。その旋律は親しみやすいだけでなく、どこかベートーヴェンの第九みたいに普遍的なところも感じてしまい、ビゼーさんには失礼かもしれませんが、「よくこんなオペラを書けたな」と思ってしまいます。

 これは1963年にカラヤンがウィーン・フィルを振って録音した「カルメン」です。演奏は同じカラヤンの80年代録音盤と比べるとぐっと引き締まった感じがします。この時代のカラヤンはゴージャスよりソリッドな感じですね。
 また80年代盤が、初演どおりの「地のセリフ」だったのに対して、本作はギロー作によるレチタティーヴォを採用した〈グランド・オペラ〉スタイルであります。ギロー作には賛否両論あるようですが、オリジナル版よりレチタティーヴォ版のほうが、劇の緊迫感はあるような気がしますが。
 カルメンを歌うのは名歌手レオンタイン・プライス。これも聴きどころですね。先の80年代盤のバルツァが豊饒な熟女?カルメンとしたら、プライスは若々しいカルメンという感じです。

オリジナル2チャンネル・マスターからのSACD化

 日本語解説に載っているエンジニア、アンドレアス・K・マイヤーのテクニカルノートによれば、SACDの特性を生かし、「オリジナル・マスターの音を、そのままDSD化している」そうです。
 なんでも97年発売のCDでは「わずかにリミッター使用されている」とか。ううむ、こういう話を聞くと、SACDで出してくれて良かったと思ってしまう。
 発売レーベルはRCAですが、実際はデッカによる録音。聴いてみたところ、古さを感じない音に満足しました。
 そりゃあ現代の最新録音によるオーケストラのシルキーサウンドに比べれば、硬質な感じは否めませんが、音楽としての張りや生命感は、少しも聴き劣りしませんでした。昔のアナログ録音がこういう音で聴けるのはうれしいかぎりです。

豪華なパッケージの復刻。オリジナル解説書と日本語解説書付き

 オリジナルのLPは、当時〈ソニアシリーズ〉のひとつとして発売されたものです。綺麗な絵をふんだんに盛り込んだ解説とボックスで、当時としてはすごい豪華だったと思います。
 このSACDボックスはそれを復刻したデザインになってます。箱はザラザラの肌触り。ソニアシリーズのウリだった豪華な解説書もCDサイズに縮小されて復刻されておりました。紙質も近いと思います。
 とはいっても文字は縮小され、そもそも英文なので判読が難しいのですが、ご心配なく。巻末に日本語訳が載っているので、豪華な解説の内容を知ることができます。
 3枚のディスクは、昔ながらの3枚入りプラケースに入れられているのですが、さらにそこにも、本作の日本語解説書が入っています。こちらの内訳は、曲目解説、歌詞対訳、SACD化にさいしてのプロダクトノート。
 このSACDは2008年4月発売。初回限定生産ですので御注意ください。

2008.5.12