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カークビー(ソプラノ)、ルーリー(リュート) 
蜂の巣からの蜜~ダウランド:リュート歌曲

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HONEY FROM THE HIVE
SONGS BY JOHN DOWLAND
EMMA KIRKBY SOPRANO
ANTHONY ROOLEY LUTE

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録音2004年4月

曲は〈エセックス伯〉、〈ベッドフォード伯夫人ルーシー〉。〈女王エリザベス1世〉、〈ヘンリー・リー卿〉のために作られた曲がならぶ。
数年前、カークビーとルーリーが来日したときと同じプログラム構成である。なので、かなり歌い込んでの録音でしょうね。

エリザベス朝の歌を、エマ・カークビーの晴朗なソプラノで

 エマ・カークビーは80年代始めくらいから活躍している歌手。 ビブラートを排したその晴朗な歌声は、とても印象的です。
 そんなエマ・カークビーのSACD。 伴奏のリュートは旦那さまのアントニー・ルーリーが弾いています。

  ダウランド(1563-1626)はエリザベス朝時代のリュート奏者で、 ヨーロッパのいろいろな国を遍歴、お付のリュート奏者をつとめました。
 しかし帰国後、ダウランドは女王エリザベス1世につかえる夢をもったのだが、 女王のほうはダウランドを採用しなかった。なんか哀しい人生を歩みました。
 そのかわり、女王エリザベス1世やいろいろなパトロンのために 珠玉の歌曲を作曲したのは、後世のわたしたちには幸運だったと言えるでしょう。
 このSACDのタイトル「蜂の巣から蜜」も、女王蜂のために、 せっせと蜜(歌曲)を作りだしたダウランドの生涯をたとえているわけです。

一聴して薄味、だが、これが濃い

 さてダウランドの歌曲。先に書いたように伴奏はリュートのみです。
 リュートはほんとうに消えそうなか細い音。 そこにカークビーの透明な声が、しっかりと歌い込んでいく。
 普通のクラシックにくらべると年代が古いので、バロックとくらべてさえ、 ダウランドの曲はほんとうにシンプルです。
 シンプルだけでなく薄味。初めて聴いた人は、 たとえると「塩を入れないおにぎり」くらい、頼りないものに感じるかもしれません。
 でも、がまんして聴くと、これで十二分に味があるのがわかります。
 それに気づけばシメたもの。 素晴らしい曲の数々は一生の友達になることは間違いありません。 歌詞が英語なのも、日本人には、心に染みる助けになってます。

残響たっぷりの空間を聴きましょう

 カークビーの歌声は、今までのCDでも、ホールや修道院の残響を生かした録音でしたが、 このSACDもたっぷりとした残響のなかで歌われます。
 リュートとソプラノだけ、という最小音を、 高音質のSACDで鳴らすのですから、贅沢な再生です。
 2chステレオでは伸びやかに声と残響音が広がります。 マルチチャンネルでは、それが完全に回り込んで、ひとつの空間になります。

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2006.4.27