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マレク・ヤノウスキ指揮ベルリン放送交響楽団
ワーグナー:楽劇〈トリスタンとイゾルデ〉

ディスク
Wagner:
TRISTAN UND ISOLDE

Mark Janowski
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin

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Tower Records


輸入盤 Pentatone
SACDハイブリッド3枚組

録音2016年3月27日
ベルリン、フィルハーモニーでのライヴ録音

SACDは3枚組。各幕が1枚づつディスクに収録。
歌詞はドイツ語と英語

トリスタン:スティフェン・グールド
イゾルデ:ニーナ・シュテンメ

マルチチャンネルのサラウンドはキチンと

 PENTATONEの〈ワーグナー・エディション〉、ようやく〈トリスタンとイゾルデ〉を聴きました。これも揃えねばと思っていた1枚です。

 同シリーズの他のSACDのレビューでも書いてきたことですが、ベルリンのフィルハーモニーでの最新のサラウンド+ライヴ録音。これ以上の“リスニングルームで聴くワーグナー”の条件はないと思われ、ワーグナー好きのオーディオ・マニアとしては究極のSACDです。演奏はマレク・ヤノウスキ指揮でベルリン放送交響楽団。

 SACDマルチチャンネルで聴きました。
 オーケストラの響きは前方に豊かに広がります。演奏中はホールトーンはことさらに感じませんでした。以前はSACDマルチチャンネルというと、ホールトーンが豊かに広がりましたが、このシリーズは前方の濃厚な音場が特徴です。

 しかし、トゥッティでオーケストラが成り終わった瞬間。そのあとに広がる数秒の残響は、やはりリスニングルーム全体に広がり、演奏中は意識しないものの、豊かなサラウンド空間で聴いていたことを知らされます。
 それも、一般的にサラウンドというと、4方向から並列的に音がやってくる印象を持つかもしれませんが、このサラウンドはもっと立体的で、部屋全体で(頭の上にも)バーンと広がる残響音なのです。

 演奏中もっともサラウンドを意識するとすれば、第3幕のイングリッシュ・ホルンによる長いソロ(「嘆きの調べ」)。
 これはソロだけに、サラウンド空間の有利さが如実に感じられました。荒涼としたソロが空間に浮かび上がります。


SACDハイブリッド3枚組。ブックレットはドイツ語と英語対訳

個人的チェックポイントに合格、ヤノウスキのエキサイティングな〈トリスタンとイゾルデ〉 

 さて、オーディオは大満足でも演奏が不満なら、せっかくのSACDマルチチャンネルも宝の持ち腐れですが、演奏も良かったです。

 SACDラボの個人的な〈トリスタンとイゾルデ〉の演奏面でのチェックポイントは、ひとことで言って「躍動感」であります。すなわち、

 第1幕、トリスタンとイゾルデが妙薬を飲んだあとのラストがどれだけ盛り上げてくるか?
 第2幕のトリスタンとイゾルデの密会のシーンが、どれだけ恍惚感に浸る演奏か?
 第3幕のイゾルデの「愛の死」が陶酔感を持つか?

 以上が満足ならSACDラボとしてはOKなのです。
 フルトヴェングラーのSACDやバーンスタインのCDの演奏はその点で愛聴盤でした。

 そして、このヤノウスキの演奏でも同じ様にエキサイティングなところを感じました。失礼ながらヤノウスキの風貌からここまでエキサイティングな演奏をするとは思いませんでした。
 演奏も音質も満足。とっておきの〈トリスタンとイゾルデ〉を手に入れることができました。

ディスク
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Tower Records

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2016.8.17