マルサリス兄弟が参加、白熱のライヴ録音
アート・ブレイキーひきいるジャズ・メッセンジャーズが、キーストーン・コーナーというクラブで演奏したライヴ録音。リリースは1982年。
83年度のグラミー賞「ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス・グループ」と「ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス・ソロ」のファイナリストにあがった作品。
「燃え上がるようなジャズ」というのが、ジャズ・メッセンジャーズの伝統なのでしょうかか。80年代に録音された本作もすごい熱演です。エモーショナルなスィング感。
その立役者は、なんといってもリーダーのブレイキーのドラムでしょうが、注目は、若きウィントン・マルサリスとブランフォード・マルサリス兄弟でしょう。彼らにBill Pierceを加えた三管のフロントは、アンサンブルにソロにと、スキなしの演奏を繰り広げる。
ウィントン・マルサリスの上手すぎて、時にはイヤミにも感じる超絶テクニックも、ここでは感動するばかり。兄ブランフォード・マルサリスはテナーではなくアルト・サックスなのが変則的だが、これも素晴らしい。50年代、60年代に頂点を極めた(?)、普遍的なジャズの醍醐味が、パワーアップされて蘇ってきているみたいです。
伸びやかで厚みのあるSACDステレオ、豊かで瑞々しい響きのマルチチャンネル
オリジナル・アナログ・マスターからのSACD化。
SACDステレオの再生音は伸びやで、厚みのある音に満足。これだけでも「おっ!」ときましたが、80年代の録音ゆえ、実は期待していなかったマルチチャンネルも良かったです。
マルチチャンネルは、オリジナル録音の録音エンジニアでもあるPhoil Edwardsが制作。そのせいか、響きがなかなかいい。
音が微妙な残響音をたたえて、好みもありましょうが、このほうが音楽的に豊かに聞こえます。「オーディオの音」から「楽器の音」へ変貌したような感じでしょうか。リスニングルームに響きが自然に溶け込んでいるよう。ライヴ録音だけに、これはうれしいマルチチャンネルだと思いました。
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HMV
2007.12.30
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