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SACDhybrid ジェリー・マリガン、セロニアス・モンク
マリガン・ミーツ・モンク

Mulligan Meets Monk
Getty Mulligan,Thelonious Monk

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Hybrid Stereo
録音1957年
輸入盤、RIVERSIDE

角の丸いプラケース。

ブックレットは三つ折りのペラ紙。Orrin KeepnewsによるオリジナルLPのライナーと1987年のライナー。

パーソネル
Gerry Mulligan (baritone sax)
Thelonious Monk (piano)
Wilbur Ware (bass)
Shadow Wilson (drums)

収録曲
1. 'Round Midnight
2. Rhythm-A-Ning
3. Sweet And Lovely
4. Decidedly (Take 4)
5. Decidedly (Take 5) ※
6. Straight, No Chaser (Take 3)
7. Straight, No Chaser (Take 1)※
8. I Mean You (Take 4)
9. I Mean You (Take 2)※
※ボーナス・トラック

マリガン節とモンク節、どちらも耳が離せません

 本作はタイトルどおり、ウエスト・コースト・ジャズのバリトン・サックス奏者、ジェリー・マリガンが、奇才セロニアス・モンクと共演したアルバムです。
 しかし、どうしてもモンクが突出してしまう、でも、マリガンも頑張ってる。
 そこのところ、面白く聴けるアルバムですので、書いてみます。

 冒頭「'Round Midnight」は、マリガンの甘いバリトン・サックスが流れ、「ムード満点」なところはマイルス・デイビスの演奏を思い出させます。 しかしモンクは甘いムードもおかまいなしに、トンがったピアノ・フレーズ。
 3曲目のムーディーな「Sweet And Lovely」でも同様。マリガンのフレーズとは溶け込まないモンク節。これを聴くと、マイルスが「ケンカセッション」になったのも分かる気もします(笑)。

 こんななか、マリガンも、モンクのトンがった音をたたき台にして、なんとか吹いていくところにスリルを感じるのです。
 「Straight , No Chaser」「I Mean You」では、モンクがバッキングをしない時間が多く、そこではマリガン節。
 しばらくしてモンクが入ってくると、自分はオブリガードに回り、アレンジャーとしてのマリガンを感じさせます。

 結局、マリガン節、モンク節、どちらも耳が離せないのが本作。
 マリガン節が全開なのは、マリガンの曲「Decidedly」。ここではモンクもマリガン節にのってお付き合い(かと思いきや、細部は、やっぱりモンク調になりますが)。

SACDの音

 SACDは録音が1957年にもかかわらず、豊かな音です。なかでもバリトン・サックスの柔らかさは十分に再現しており、暖かみがあります。
 ステレオの右チャンネルがマリガン、左チャンネルがモンク、ドラムスとベースは曲によってどちらかに。

 本作にはボーナス・トラックとして、3曲のテイク違いが追加されています。ボーナス・トラックは3曲ともモノラル。
 いずれも採用テイクのあとに収録されていますが、なぜか音は硬めで、音質はステレオの採用テイクのほうが遥かにいいです。
 このボーナス・トラックを聴くと、はからずもステレオ版の音の良さに気づくわけです。

 音質はともかく、普段はテイク違いの嫌いな僕が、興味深く聴いてしまうのは、モンクとマリガンの真剣勝負のような演奏があるからです。

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2012.7.24