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SACDhybridキップ・ハンラハン
BEAUTIFUL SCARS


KIP HANNRAHAN
BEAUTIFUL SCARS

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Hybrid Stereo/Multi-ch
国内盤 american cluve
録音2004年8月-2007年3月 N.Y.

ハードカヴァーの、二つ折り紙ジャケット仕様。本のようにジャケットと一体となったブックレットには、キップ・ハンラハンのライナー。全曲の歌詞。メンバーの白黒写真を多数あしらったページ。

掲載歌詞は英語だが、収録曲ではイスパニア語?で歌っている曲もあり。

ブックレットの後半にキップ・ハンラハンのライナー日本語訳、歌詞対訳、菊池成孔氏のライナー「美しい疵(きず)」

 

ニューヨーク・アンダーグラウンド、キップ・ハンラハンのソロ・アルバム

 本作『ビューティフル・スカーズ(美しい傷跡)』は2007年制作。
 ピアソラの『タンゴ・ゼロ・アワー』を制作した、ニューヨーク・アンダーグラウンドのカリスマ・プロデューサーであり、ミュージシャンでもある、キップ・ハンラハンの15年ぶりのソロアルバムです。


紙ジャケ。ブックレットの紙は上質

 本作は、便宜上「ジャズ」にジャンル分けしましたが、ラテン・ポップ、ワールド・ミュージックと呼ぶほうがふさわしくも思え、うまく説明できる言葉がみつかりません。

 この音楽を聴くと、クラシックはもとより、ローリング・ストーンズでさえ格式張った音楽に思えてるほどで、自分の中に新たな“音楽大地”を発見した思いがします。

ラテン、ルンバ、ヴォイスの詩的世界

 すべてにソロ・ヴォーカルが入りますが、ロックやジャズで聴くようなプロフェッショナルな歌唱とは一線を画すものです。
 ブランドン・ロス、アルヴィン・ヤングブラッド・ハート、フェルナンド・ソーンダースや、キップ・ハンラハンと彼の娘によるヴォーカル/ヴォイス。

 キューバのヴェニス、ローマ、ブロンクス行きのバスを歌ったシュールな「Busses From Heave」をはじめ、いかにも知的好奇心を刺激する歌詞が満載です。またバンドもカッコイイ、サウンドに溢れていて、音楽的な興奮もそそります。

 どこか人間の根源的なところで興奮させてくれるラテン・ミュージック(ラストはブルースですが)とここではまとめておきますが、『ビューティフル・スカーズ』の音楽をどう感じるかは、聴く人次第だと思います。

情欲優先の高音質

 キップ・ハンラハンが主宰する高音質のアメリカン・クラーヴェが、オリジナルからSACDでリリースしただけあって、サウンドは裏切りません。
 といっても、いかにも高音質を感じさせる整ったサウンドではなく、音楽優先で太く厚みのあるサウンドです。

 ここではSACDの「空気感」さえ上品すぎるのでしょうか、ひたすら「情欲優先の高音質」に思いました。
 とくにベースの音は太く、いくつかの曲では手に負えないくらいかも(笑)。例によってグレッグ・カルビのマスタリングです。

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キップ・ハンラハンとピアソラのSACD
B000O78Z3I COUP DE TETE
キップ・ハンラハン初のリーダーアルバムのSACD化。
SACDラボレビュー
B0033WCZXC Tango:Zero Hour
ピアソラの代表作、SACD化。
SACDラボレビュー
2012.6.19