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ロニー・プラキシコ・グループ
ライヴ・アット・ジャズ・スタンダード

The Lonnie Plaxico Group
Live at JAZZ STANDARD
Hybrid Stereo/Multi-ch
2003年1月29日に
NY"Jazz Standard"でのライヴ録音
国内盤、Eighy-Eight's
紙ジャケット仕様
SACDハイブリッド

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EIghty-Eight'sレーベルならではの見開き紙ジャケット仕様。艶あり厚みのあるガッシリした作り。
ブックレットには馬場雅之氏のライナーが4ページ。

下が帯つき画像

ニューヨークのホットなライヴハウスでのDSDレコーディング

 本作は、Eity-Eight'sレーベルからのマリーナ・ショウに続く2作目のライヴ録音です。ニューヨークのライヴスポット「ジャズ・スタンダード」でのライブ録音を、STEREO/マルチチャンネルともにDSDレコーディング。高音質ファンには見逃せないSACDです。
 このバンドのリーダー、ロニー・ブラキシコは1960年生まれ。ジャズ・メッセンジャーズにもいたことがある、アコースティックとエレクトリック両方を弾くベーシストです。もちろん、ジャケット写真はプラキシコがひとり写っています。

グループは、ホーン2管とドラムで熱い演奏

 なので演奏は、ベースを大きくフューチャーしたジャズ、と予想してしまいそうですが、実際はちがいます。ベースソロは、ほとんどないのではないか。
 これは、テナーサックスとトランペットの2管をフロントにした「ビ・バップの熱気にファンキーさを加えた」演奏です。パーカッション奏者もいるので、エネルギッシュ度はさらにアップ。
 このバンドのファンキーさを演出しているのが、ドラムのライオネル・コーデューです。飛び跳ねるようなドラム・ワーク。いい意味で「バタバタと叩いてくれる」(←褒めてます)。熱い、熱い! ロックで言えばザ・フーのドラマー、キース・ムーンの暴れん坊ぶりを思い出しました。
 こんなドラムに支えられて、 ホーンも張り切ってますから、ライヴ演奏を聴いている醍醐味は満点。ロニー・ブラキシコ・グループの演奏は、「フラッと店に入ったけど、このバンド、気に入ったよ、騒いでるなあ」って、スタジオでの作り物を聴く時とは別物の、本当にライヴハウスで聴いたような感想を持ってしまいます。
 もちろん、「サマータイム」などのバラード系もバランスよく、数カ所演奏しています。この時は、ビ・バップもファンキーも姿を消す。古いジャズの4ビートにのり、ホーンがしっとりとバラードソロを歌い込みます。

マルチチャンネルは、ざくっと切り取られたような臨場感

 マルチチャンネルで聴いてみました。高音質のEighty-Eight'sレーベル、DSDレコーディングだけあって、ざっくりと「ジャズ・スタンダード」の店内をもぎとってきたようなサラウンドです。
 よくクラシックのマルチチャンネルでは、「残響音で空間を作り出すサラウンド」があります。クラシックですから、それも当然といえば当然ですが、どこか密閉感があるのもたしか。
 しかしこのSACDのマルチチャンネルは、乾いた残響音。サラウンドは残響に頼らない「空気感だけで、スカーっと広がる」サラウンド。本当にライヴハウスに放り込まれたような臨場感です。

 肝心の音も厚みがあり申し分なしでしょう。先に書いた乾いた残響音をともなって(デッドめということでもあります)、スピーカー位置からほぼ等身大の演奏音(そこから若干の奥行きもプラス)が出てきます。
 観客の拍手、声援(たとえばヒューという声)、店内の雑音、などはリスナーの後ろから。これも等身大の音ですので、拍手も等身大。背中からの拍手ですと、すぐ後ろに人がいるようです(笑)。
 前方に拍手はなしですので、リスナーの位置は観客席の一番前ということになり、すぐそこにバンドが演奏している、というサラウンドです。
 こんな360度高音質サラウンドで、最初に説明した演奏が聴けるのですから、また書いてしまいますが「フラッと店に入ったけど、このバンド気に入ったよ」と、ライブを観ているような感想を持ってしまうSACDです。

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Eighty-Eight'sレーベルのライヴ録音SACD
マリーナ・ショウ/ライヴ・イン・トーキョー
臨場感の中に切れ味の良いジャズサウンド
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2010.7.1