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リルズ・マッキントッシュ
イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ

In The Wee Small Hours
Of The Morning
Lils Mackintosh
2002年6月アムステルダムの
ジャズクラブBim-huisでのライヴ録音

輸入盤、Maxanter Records

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ジャケットにはKharmaスピーカーの写真がのっていて、なんなんだ? 歌手よりスピーカーの写真のが大きいっていったい。中にはmarantzの文字もPHILIPSの文字も入っている。みんなスポンサーだろうか。

なので一見、高級オーディオ用のサンプルSACDのようなイメージですよね。「じゃあ音はすごくても、演奏は生気のないもの」と思っちゃいそうですが、ちがいますよ。右に書いたように、いいジャズ・ボーカルが聴けます。

SACD/CDハイブリッド盤です。パッケージには「SACDマルチ収録」とも「DSDレコーディング」とも記述はなし。最初、2チャンネルSACDと思って買いました。高音質なのに、それを誇示しない変なパッケージ(笑)。

オーディオの満足100%、ジャズの満足100%の、グッドなSACD

 今回は、いきなりオーディオの感想から書かせてもらいますが、これは高音質のSACDだと思いました。オランダの小さなクラブで行われたライヴをDSDレコーディングしております。マルチチャンネルは5.0チャンネルで収録。
 付属の安っぽい日本語解説には“ジャズ・クラブにいるようなリアルな臨場感でバラードを味わってください!”とある。
 うわ、これはベタな宣伝文句、と思ったのですが、聴いてみたら本当にそうでした。
 “臨場感”という言葉はすごく大げさですので、なるべくレビューでは使わないように心がけていたのですが(だってしょせんオーディオだもんねえ、生と同じになるわけがない)、このSACDのマルチチャンネルは確かに臨場感がある。本当にクラブにいるような空間が広がります。
 それも、どこまでも澄みきって圧迫感のない空間。たとえ演奏や観客の拍手が入っていなくても、その広がりが感じられるでしょう。家庭で聴くオーディオもここまできたか、とビックリしました。
 「臨場感だけがオーディオじゃないよ」というお方のために書いておくと、音自体ももちろんいいです。SACDステレオでもいい。でもマルチだと音の良さとの相乗効果かな、グッドな音質と空間に浸れます。

オランダのベテランシンガーは〈ヨーロッパのビリー・ホリデイ〉

 オーディオのことばかり書きましたが、演奏もいいです。
 リルズ・マッキントシュはオランダのベテラン・ジャズ・シンガーだそうです。彼女は〈ヨーロッパのビリー・ホリデイ〉と言われているとか。
 確かに節回しにビリー・ホリデイのニュアンスがある。
 でも真似じゃないと思う。ジャズ・ボーカルというと、どうも「ジャズ・ボーカルですよ」といいたげに力の入っいる人もいるのですが、彼女はごく自然に歌っている感じがした。
 「グッドモーニング・ハートエイク」、「マイ・ファニー・バレンタイン」ら、スタンダードが14曲入っている。
 どの曲も充実しているように感じられた。歌唱の心地よい緊張が、そう感じさせるのかな。バッキングはピアノ・トリオにテナー・サックス(このサックスもいい)。
 小さなクラブでリラックスしたジャズ・ボーカルを聴く。ジャズの常道みたいなSACDですが、疲れたときに聴くと救われそうです。ジャズ・ファン、オーディオ・ファン、どちらにも「ねえ、聴いてみて」といいたいSACDです。

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2005.12.11