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山下達郎  OPUS ~ALL TIME BEST 1975-2012~


Tatsuro Yamashita
OPUS
ALL TIME BEST 1975-2

Hybrid

Amazon(通常盤)
Amazon(初回限定盤ボーナスCD付き)

国内盤、MOON
2012年発売

昔ながらの3枚組プラケースに、CDを3枚収録。

60ページのカラーブックレットが付く。
ブックレットには、歌詞と各曲ごとに山下達郎の解説付き。数行ながらミニ・エッセイとも言える味わいのある文章です。
最後に全アルバムのディスコグラフィ。

収録曲

CD 1
1. DOWN TOWN
2. 雨は手のひらにいっぱい
3. パレード
4. WINDY LADY
5. LOVE SPACE
6. SOLID SLIDER
7. PAPER DOLL
8. LET'S DANCE BABY
9. BOMBER
10. 潮騒 (THE WHISPERING SEA)
11. FUNKY FLUSHIN'
12. 愛を描いて -LET'S KISS THE SUN-
13. RIDE ON TIME
14. SPARKLE
15. LOVELAND,ISLAND
16. あまく危険な香り
17. YOUR EYES

CD2
1. 悲しみのJODY
2. 高気圧ガール
3. クリスマス・イブ
4. スプリンクラー
5. THE THEME FROM BIG WAVE
6. I LOVE YOU Part I
7. 風の回廊(コリドー)
8. 土曜日の恋人
9. ゲット・バック・イン・ラブ
10. 踊ろよ、フィッシュ
11. 蒼氓(そうぼう)
12. アトムの子
13. さよなら夏の日
14. ターナーの汽罐車
15. エンドレス・ゲーム
16. ジャングル・スウィング
17. おやすみ、ロージー

CD3
1. ヘロン
2. 世界の果てまで
3. ドリーミング・ガール
4. ドーナツ・ソング
5. いつか晴れた日に
6. 君の声に恋してる
7. 2000 トンの雨 [2003 NEW VOCAL REMIX]
8. 忘れないで
9. FOREVER MINE
10. ずっと一緒さ
11. 街物語(まちものがたり)
12. 僕らの夏の夢
13. 愛してるって言えなくたって
14. 愛を教えて
15. 希望という名の光

山下達郎、初の全キャリアからなる、レーベルを超えたベスト盤

 山下達郎の3枚組CDのベスト盤。
 本作はSACDではなくCDです。しかしSACDではない、という理由だけで取り上げないのは惜しいのでレビューします。

 タイトルにもあるように、山下達郎がデビューした1975年から、2012年最新作の「愛を教えて」までを収録した初の〈オールタイム・ベスト〉。本人の選曲による、全曲2012年最新リマスタリングです。
 以下、各CDの内容と音について書いてみます。

CD1「シュガーベイブ〜RCA/AIR時代」

 1975年の『ソングス』(シュガーベイブ)から、1982年の『For You』『Greatest Hits! of』までのアルバムから選曲。

 名作「Down Town」がベスト盤を飾るのは初めてと思います。そのほか「Bomber」「Ride On Time」「Loveland Island」など、当時の日本のポップスで孤軍奮闘していた頃から、大ブレイクをするまでの楽曲が並びます。達郎ファンにとってはおなじみの曲ばかり。

 ファンとしては「夏への扉」「Music Book」など、各アルバムで輝く名曲がもれているのが残念です。
 しかしCD1枚に収める制限もあることですし、この選曲がベストだと思います。当時の日本人ばなれした「達郎サウンド」を堪能できます。

CD2「MOON〜WARNER YEARS I」

 1983年の『Melodies』から、1993年のベスト盤『Treasures』までから選曲。
 日本で一番有名なクリスマスソング「クリスマス・イヴ」や、解説でご本人が「一連の夏路線の最後となる一曲」と書いている「踊ろよ、フィッシュ」(アルバムと別バージョン)などを収録。

 時代はバブルの頃。サウンド的にはアナログ・レコーディングからデジタル・レコーディングに移行した時期であり、プログラミングやサンプリングなどを使用して、演奏を山下達郎ひとりでおこないだした時期です。当時のデジタル初期の苦労が解説にも書かれています。

 ここでもファンとしては「僕の中の少年」「新(ネオ)・東京ラプソディー」などがもれているのが残念ですが、かわりに『Big Wave』から「The Theme from Big Wave」が、ベスト盤としては初めて入っているのが嬉しいところ。当時のベスト盤『Tresures』に近い内容ながら、より〈オールタイム・ベスト〉となっています。

CD3「MOON〜WARNER YEARS II」

 1998年の『Cozy』から2010年『Ray of Hope』までから選曲。今年2012年の新曲「愛を教えて」も収録しています。

 70年代からの達郎ファンには、この時期が一番、なじみがないのではないでしょうか。
 しかしこのベスト盤で聴いてみると、良い曲が並んでいます。特に前半、「ドリーミング・ガール」「君の声に恋してる」など、CD1、CD2の楽曲に劣らない名曲が、ずらっと並びます。
 新しくヴォーカル・ミックスされ、掘り起こされた「2000トンの雨」も、吉田美奈子がバッキングをしている懐かしい時代のもの。

 CD3の後半は最新作『Ray of Hope』からの選曲。
 昔のように「聴いた瞬間、すぐに気に入る」、常夏の達郎サウンドではありませんが、何度も聴くうちに、好きになれそうな気配があります。往年のファンも、このベスト盤で、最近の達郎サウンド(達郎メロディと言うべきか)に触れてみてはどうでしょうか。
 カンツォーネ風の曲もあり、時流やファンの期待と関係なく、相変わらず「我が道を行く」 達郎の仕事が多いのがCD3であります。

CDの音

 音は「CDの器」のなかで、とても丁寧に整えられ、高音質として仕上げられています。

 まず、大音量で聴いても、CD特有の「耳が痛くなる」現象がおきません。どの音のエッジも、綺麗に刈り上げられているようで、やわらかいです。それから、繊細な「微粒子状」の音でもあります。

 これらの処理が大変心地良いので、「CDの器」であっても、聴きやすいのでした。
 「これでSACDなら…」というオーディオ的な思いも、70分のディスクを聴き続けているうちに忘れてしまっています。

 全部でCD3枚、3時間半にわたる山下達郎の音楽を聴くと、感嘆だけが残るのでした。

Amazon(通常盤)
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2012.11.14