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LOVE (DVD audio)

DVDオーディオ付きは左のようなパッケージ。開くとDVDとCDの2枚のディスクが入っている。ジャケットは企画盤らしい、平凡なもの。まあ、企画盤でジャケットを頑張ってもしょうがないが。

新しいビートルズの“作品”

『LOVE』は2006年末発売。現在のところ最も新しいビートルズの“作品”となる。
 といっても新作ではなく、ビートルズの録音を、現代のデジタル技術で自由自在にコラージュした作品である。ある曲のドラムパートを別の曲に差し替えたり、別の曲のコーラスパートを加えたり、基本的に原曲のイメージはそこなわないようにしながら、新しいミックスが制作された。それらが全編メドレーで繋がれている。
 要するにビートルズのオリジナル・アルバムではない。ジョージ・マーティンの息子が制作したとはいえ、第3者の手になるもの。ワンランク落ちる“企画物”ということになる。
 しかし、僕は、この『LOVE』が一番聴く“ビートルズのアルバム”になってしまった。発売以来、僕はビートルズで聴くのは圧倒的に『LOVE』である。
 ともかく制作のセンスの良さには感心する。ビートルズ初期から後期まで、楽曲のエッセンスは保たれて使用されている。ビートルズファンを裏切らない仕上がりだと思う(センスが悪いのはジャケットデザインだけである。あと「ヘイ・ジュード」の短いバージョンもやはり気に入らないナア。全曲入れてほしかった)。

DVDオーディオで聴く高音質サラウンドは“トリップの旅”

『LOVE』は、iPodに入れてバンバンに聴きたおしているが、何といってもすごいのはDVDオーディオ版だ。通常CDではなく、DVDオーディオとCDがセットになったものも発売されたのだ。
 DVDオーディオでは、CDを越えた高音質で『LOVE』が聴ける。それもサラウンドである。この「高音質+サラウンド」で、驚異的な世界がリスニングルームにあらわれる。これがたまらない!
 『LOVE』を聴く時は、部屋の電気を消して、真っ暗にして聴くことにしている。さあ「ロール・アップ!」。四方八方から音に包まれて過ごす70分強は、マジカル・ミステリー・ツアー的な、サイケデリックな音響世界。“トリップの旅”である。これが何十回聴いても、聴き飽きないんだなあ。
 それが高音質で聴けるのだからすごい。ビートルズ初期の「抱きしめたい」や「ヘルプ!」が、現在の新曲と変わらない太さで聴ける。昔のLPで印象に残っている“古くさい音”は過去のものになってしまった。デジタル技術の進歩にはびっくりしてしまいます。
 DVDオーディオを再生できるのは、ユニバーサルプレーヤーだけなので注意が必要だ。DVDプレーヤーでホームシアターをしている人なら、DTSでサラウンドは味わえる。でも『LOVE』の真の姿は、やはり高音質なDVDオーディオのサラウンド版であると思っている。
 『LOVE』はアナログレコードでも出ているが、アナログファンの僕も今回はパスさせてもらった。DVDオーディオの「高音質、サラウンド、ノンストップで聴ける」世界。これは何物にも替え難い。
 エンディングは「グッドナイト」のオケパートをバックにメンバーの声。その最後をしめくくるジョンの声には、毎回涙が出そうになる。

本作品は第50回グラミー賞、「最優秀コンピレーション・サウンドトラック・アルバム」「最優秀サラウンド・サウンド・アルバム」を受賞している。

LOVE (DVDオーディオ)
LOVE (CD)
LOVE (12インチアナログレコード)

ちなみにユニバーサルプレーヤーも安いものはこれくらいからある↓
Pioneer DVDプレーヤーDVDオーディオ/ビデオ・SACD対応 DV-600AV