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Please Please Me(UKオリジナル MONO)

普段レコードはビニールに入れないけれど、こいつは入れておきたい。ジャケットの端がボロボロというより、カサカサになっている。

先日、CDとレコードを中古レコード店に売った。まとまった現金を掌に握りしめることができたので、その場で普段買えない一枚を買おうと思った(家に現金などもって帰れるか)。
 それがコレ『Please Please Me』(UKオリジナルMONO)だ。僕にとって初めての英国オリジナル盤である。

モノラルで十分迫るビートルズ・サウンド

うやうやしく店のラベルをみると「盤質C」とある。「C」というのは「どんな音が飛びだそうとノークレーム」を表す記号。怖かったが6800円という値段につられて買った。
『Please Please Me』の初盤といえば今から40年近くも前のレコードだ。当時、キャアキャアとイギリスの女の子たちがポータブル・プレーヤーで聴いてた盤に違いない。それを40年後、東洋の中年オヤジが6800円も出して買うのである。ああ、地球の自転はなんと珍奇な現象を生み出すのだろうか。
 肝心の音だが、僕はかなり気に入った。どうもステレオ世代の僕にはモノラルは前時代的な技術と移っていたが、その認識を改めてさせてくれる一枚だ。音が太くてたいへんよろしい。ギター・アンプの臭いさえ伝わってきそうな臨場感がある。
 ただしこれは英国初盤という要因もあるようだ。同じモノラルでも日本デビューの『Meet The Beatles』ではぐっと線がほそくなってしまうから。
 英国初盤の『Please Please Me』を聴いていると、モノラルで聴く音楽の素晴らしさを知ることができる。「ステレオなんて気が散るだけだなあ」という思いさえ感じてしまうのだ。

プレーヤー、カートリッジ、フォノイコのグレードアップで音割れなし

このアルバムは一日で録ったセッションとして有名だ。そのためジョンの絶叫する「ツイスト・アンド・シャウト」が最後に回された。 「ツイスト・アンド・シャウト」はそんな豪快なナンバーなのだが、残念だが僕が買ったレコードでは再内周のためボーカルが割れる。
 ああ残念。ジョンの声が枯れる寸前なのは構わないがレコードが割れるなんて…。

ところが最近(2010年)、我が家のオーディオもグレードアップした。プレーヤーはガラード301、トーンアームはSME、カートリッジはモノラル専用(横方向にしか動かない)の音のエジソンスピリッツ
 これで聴くとがぜんモノラル盤の音が広がり、芯が出てきた。
 さらにフォノイコライザーにアキュフェーズC-27をお借りすることができ、これらで聴いたところ、再内周の「ツイスト・アンド・シャウト」は割れなくなったのだ。すごい、レコード盤は同じなのにオーディオでこんなに変わるなんて。
 ビートルズのモノラル盤では、『Please Please Me』が音の一番醍醐味を味わえると思う。

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ザ・ビートルズ/Beatles in Mono [Analog]
2014年9月、ビートルズのモノラル・アルバムがアナログLPで発売になります。これはリマスターされたCDとはちがい、オリジナル・テープからの制作だそうです。ここに書いた60年代のモノラル盤と、まったく同じとまでは期待できませんが、今日オリジナルUK盤を手に入れるのは費用も大変ですので、興味のある方はどうぞ。
ビートルズ モノラルLP発売前のブログ記事