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ベルナルト・ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団/マレイ・ペライア(ピアノ)
シューマン:ピアノ協奏曲/ブルックナー:交響曲第9番


国内盤、NHKエンタープライズ

ハイビジョン映像
ステレオ・リニアPCM
5.0リニアPCM
5.0ドルビー・デジタル

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特典映像
『至福の響き コンセルトヘボウの秘密』音楽学者ロブ・メドケマイヤー、録音家エベレット・ポーター、指揮者ベルナルト・ハイティンクの各インタビュー。

ブックレット
解説に浅利公三氏、小林悟朗氏の制作話、深田晃氏のテクニカル解説

コンセルトヘボウのコンサートをブルーレイでパッケージ

 このブルーレイは2009年3月8日におこなわれたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団のライヴ録音です。このライヴは当日NHKでも生放送されました。それがブルーレイディスクとなって発売です。
 指揮は80歳を迎えるベルナルト・ハイティンク。独奏ピアノにはマレイ・ペライア。ロイヤル・コンセルトヘボウの豊かな音と名ピアニストの共演は「見たい!」と思わせます。もちろんメインのブルックナー9番も「見もの&聴きもの」でしょう。

 コンセルトヘボウは指揮者や独奏者がステージ後ろから登場する独特の作りです。赤い絨毯の階段を観衆の拍手のなか下りてくるのは演出効果抜群。映像で見る楽しみです。
 ペライアとのシューマンのピアノ協奏曲は、少人数オケの渋いサポートがいい感じです。ペライアの弾くシューマンは初めて聴きましたが、もちろん満足です。
 つづくブルックナーの交響曲第9番ではステージ一杯に楽員が増え、巨大交響曲であることを思い知らされます。
 ブルックナーの9番は本当に素晴らしい曲で、ブルックナーの中では一番親しみやすいうえ、陶酔のメロディーの連続です。ブルックナーらしい無骨な作りは随所に感じるのですが(それもブルックナー)、観客を引き込む音楽センスはワグナーやマーラーと並ぶくらいスマートで、この交響曲を一段と人気にしています。
 ブルックナーは音だけで聴いていると、かなり難解で入り組んだ曲に思えますが、映像付きで聴いていると、わりと単純な構造なのが分かりました。
 ハイティンクはカリスマ性のある指揮者ではありませんが、音楽と合わせて指揮ぶりを見て、ブルックナーを創造している現場に同居している気がします。やはり映像付きのライヴは感じるところが多いです。

 ハイビジョンの動きを押さえたカット割りが好き。

 撮影はNHKのスタッフが日本から行って撮影したそうです。映像関連機材はオランダのものを使用したとか。
 このブルーレイで気に入ったのは、カット割りがうるさくないことです。指揮者やソロのアップはあるものの、めったやたらに入れない。
 ハイビジョンを生かした引いた画面で、動かず、じっくりとオーケストラを写したところが多い。
 たとえばブルックナーの第3楽章導入部は、まわりの客席まで含めたオケの全体映像だけ写します。各楽員が精緻に映っているので、ぜんぜん退屈しない。まるで自分の視線で会場で見ているよう。ハイビジョンだからこそ、こういう静的な画面も可能になったのだと思います。
 もちろん各パートを追うところもたくさん出てきますが、それらはまとめて出す。メリハリの利いたカメラカットに好感がもてました。

 音はオランダのPolyhymniaが担当したそうです。Polyhmniaは元フィリップス・クラシックの人たちが設立した会社で、コンセルトヘボウ(RCO)のライヴ録音によるSACD(RCO LIVE)を制作しているので、SACDファンならご存知の方も多いはず。
 録音は96kHz/24bitのリニアPCM録音。メインマイクはステージ上4メートルにほぼ五角形に配置。5.0チャンネルで世界でもトップクラスのコンセルトヘボウの響きをとらえています。
 ブルックナーが終わると、拍手のなか、ハイティンクは出て来た階段を上っていくのですが、さすがに全部上って、また下りてくるのはシンドイ。階段の途中で引き返してまた拍手にこたえるため下りてくる。そんな光景もコンセルトヘボウらしくていいですね。
 あと観客席も明るめなのが特徴的だと思いました。特にステージ後ろの観客は、ハイビジョンなので表情がよく見えます。

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2009.10.14