topaboutblogClassicjazzPopsjpopselect
S
ザ・ビートルズ  ザ・ビートルズ USB

The Beatles USB
EMI
・24bit/44.1kHz FLAC
・MPG3

Amazon ¥25,364より

USBはリンゴ型に収められている。実際のリンゴを想像して、大きく思われるかもしれないが、実物は小さい。びわくらいの大きさ。しかしズシリと思い。

リンゴの芯を持って引っ張るとUSBがでてくる(磁石で本体にくっつく)。この芯に変な方向から力を加えて、折ってしまう人もいるから注意。


デスクトップでアルバムを選ぶと、各CDについていたブックレットのページを見ることができます(下)。

内容はCD付属の紙のブックレットとレイアウト等、全く同じものですが、ページをめくる動きが本物らしいところはいいです。

あとCDに収められていた動画も収録。これも内容はCDと同じ。

ビートルズの全アルバムを、24bitで収録。

 これはビートルズの全アルバムをUSBに収めた限定商品。 リマスターCDの「16bit/44.1kHz」に対して、USBの音源は「24bit/44.1kHz」、16bitの256倍の分解能です。
 再生環境はMac、Audirvanaというプレーヤー・ソフト、USB DACはエアーQB9-192です。DACからライン出力でいつもSACDを聴いているアンプ、Tagマクラーレンに接続、スピーカーはB&W804です。
 聴いてみたところ、同じ44,1kHzでも16bitと24bitでは、音の鮮度が違いました。以下、アルバムごとに感想です。

『パストマスターズ1』

  「ラブ・ミー・ドゥ」。リンゴがドラムをたたいている貴重な音源です。モノラルでも、結構みずみずしい。 「シー・ラブス・ユー」もモノラル音源しか残っていないけれど、これも今までになく「ふくよか度」が上がっていると思います。
 「ジズ・ボーイ」は、バックコーラスの各自の声色が一瞬聞き分けられるところが、今までにない成果。 どの曲もやわらかく、実のある音。SACDファンがCDを聴くときの、「音が硬い」というボヤきは出ず、アナログを聴いているような感じです。

『プリーズ・プリーズ・ミー』

 耳障りの良い、豊かな音。 24bitで音が良くなった分、皮肉にも左チャンネルにバンド音、右チャンネルにヴォーカル&コーラスという、「分かれ感」が意識されてしまうことに。音質とは関係ない小言ですので、このステレオ・バージョンを気にしない方には問題なしです。

『ウィズ・ザ・ビートルズ』

 『プリーズ・プリーズ・ミー』と録音条件は、あまり変わらないと思うのですが、アナログ盤(UK、モノ)では迫力が、『プリーズ・プリーズ・ミー』に届かないところを感じていました。
 それがUSBだと、迫力が『プリーズ・プリーズ・ミー』なみに追いついています!
 ジョージのギターの倍音や、リンゴのドラムは生々しい音。ひょっとしたらアナログ・モノラル盤より勝っているのでは、と思いました( 個人的には「泣き別れステレオ」が気になりますが)。

『ア・ハード・デイズ・ナイト』

 ビートルズのはち切れんばかりの演奏。なのでアナログ時代から硬めの音の印象でした。しかしUSBは、まるで300キロ出せる車が150キロで走っているような余裕。音にやわらかさが出ているようです。
 ヴォーカルも中央にきて聴きやすいです。ふわりとした広がりも、 いいですねえ。リスニング・ルームは防音室なので、思い切り音量を出しましたが、耳が痛くなりません。大音量も高原の風のように、耳の横を過ぎていく感じでした。

『フォー・セール』

 まろやかなバンド演奏の、ライヴな音を堪能できました。 ヴォーカル、コーラスを中央においた聴きやすいミックスもいい。
 広がりは『ア・ハード・デイズ・ナイト』以上にふくよか。 たとえるなら、せんべい布団を日干したあとの「ほかほか状態」。ふくらみと暖かみのあるサウンドです。
 これまで聴いてきたなかでは、一番生まれ変わったアルバムだと思いました。アナログ派の僕も、本当に不満なく聴いていられます。

『ヘルプ』

 輪郭の柔らかいふくよかな音。繊細でなめらかな音なので、スピード感を持って飛び出してきます。そのせいか「ヘルプ」は通常より疾走する感じ。ステレオ・ミックスもヴォーカルが中央で聴きやすいです。

『ラバー・ソウル』

『ヘルプ』に輪をかけて繊細と厚み。余白の部分にもしっとり音が漂うよう。リマスターCDよりクッキリ感がなくて柔らかく、ふくらんだ音でした。
 ただヴォーカルが右スピーカーにあてがわれるステレオ・ミックスが惜しい。 24bitの音質で、モノラル・ミキシングだったら、どえらい音になっただろうと思います。

『リボルバー』

 厚みのある音。昔のアナログ(ステレオ)が、“中学生の体格”とすると、USBは“大人の体格”になった感があります。ベースが聞き取りやすくなったのが大きい。
 「タックスマン」はヘヴィメタのような雰囲気に。「トゥモロー・ネバー・ノウズ」は、USBでは圧倒的な存在感で(小手先感がなくなる)、すごい曲ではないかと思えます。テープの逆回転の音さえ、楽器音のようにニュアンスが感じられました。

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』

 オリジナルは4トラックを駆使したダビング多用の音源で、各音の劣化はしょうがないと思うアルバムですが、USBだとかなり改善。
 USBの音は耳にやわらかい。各楽器に、SACDで感じる「空気感」のような感じもあったのは驚き。
 「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の最後のピアノの減衰音も微細まで聴けるほど綺麗。これを物足りなく思うのは贅沢ですね。

『マジカル・ミステリー・ツアー』

 これも同じく綺麗な音。もはやUSBでは何を聴いても、デジタル臭くないです。全体に太めでまとまってくれています。

『ザ・ビートルズ(ホワイトアルバム)』

『フォー・セール』が、24bitでいい音になったと書きましたが、その上をいくのがこの『ホワイトアルバム』でした。「変貌」に近いです。
 リマスターCDでもかなり音の改善は聞き取れましたけれど、USBはさらに上をいく解像度。いままで聞えなかったサウンドが聞えたり、「レボリューション9」もずいぶん色々な音に出会えました。
 音もたいへんふくよかで、「レボーリューション」などとても綺麗。「ジュリア」のアコースティック・ギターの倍音もすばらしいです。 空間も豊に表出します。「ハニー・パイ」はその最たるもの。

『イエロー・サブマリン』

 今まで述べてきたことと同様。よい仕上がりで、ある意味期待どおり。レコードではB面のオーケストラ部分が空間も出てよかったです。

『アビイ・ロード』

 迫力とまろやかは、アナログ・レコードを聴いている感じ。 リマスターCDでは、ひととおり聴いたあとも「アナログで聴いた方がいい」と、思いましたけれど、USBでは「アナログと同等、音の綺麗さではこちらでもいい」という結論です。 この暖かい音が、パソコンが再生しているデータとは思えず、ずっと聴き続けていられます。

『レット・イット・ビー』

 低音に迫力が出て、解像度があがったのはリマスターCDでも確認してたので、さほど驚きませんでした。
 しかし音が柔らかいのには感心しました。SACDファンがCDを聴く時に思う、「耳がいたい」ということになりません。 ライヴ録りならではの、ザラっとした音質と空間になります。
 各楽器の間にふわりとした広がり。「ロング・アンド・ワインディング・ロード」では、スペクターのオーバーダビングしたオーケストラが、やわらかく広がりました。

B002VH7P4O

 総じて、USBの24ビット音源はとても満足のいくものでした。FLACデータは、USBからハードディスクにコピーして、そちらを再生することもできました。USB DACのクオリティでも音質が変わりますが、24bitのビートルズ興味のある方はぜひ聴いてみてください。

Amazon The Beatles USB ¥25,364より


PCオーディオ 関連とビートルズ・レビュー
B004HV94J6 エアー USB・DAC(シルバー) QB9-192-SILVER(AYRE)
今回の試聴に使用したUSB-DAC。派手さはなく音楽的な音。すばらしい製品だと思いました。
4862486053 パソコンで楽しむ極上のオーディオサウンド (COLOR新書y)
PCオーディオ入門の第1冊に。そろえる機械、ソフトなど一から解説。新書版でカラー写真も多いです。
4764131293 47641313664764131420PCオ-ディオfan2 (MOOK21)
「オーディオベーシック」の姉妹紙。PCオーディオについて、毎回深く特集。
ザ・ビートルズ/モノ・ボックス
コストパフォーマンスは高いボックスセット
Amazon(輸入盤) Amazon(国内盤)
ザ・ビートルズ/LOVE
DVDオーディオのサラウンドこそが『ラヴ』
Amazon
ビートルズアナログ盤の楽しみ
UKモノラル盤を中心に多数レビュー
2011.6.6