topaboutblogClassicjazzPopsjpopselect
S
ジャニス・ジョプリン ビッグブラザー・&ザ・ホールディング・カンパニー
チープ・スリル


JANISI JOPLIN
BIG BROTHER & THE HOLDING COMPANY
CHEAP THRILLS

録音1968年
輸入盤、COLUMBIA

Amazon

普通のプラケースに透明カバー。ブックレットは数ページのとても簡単なもの。歌詞はなし。英語のライナーにライヴ風景の写真がレイアウトしてある程度。

ボーナストラックが4曲つく。2曲がスタジオテイク。2曲がライヴ。どちらも初出。マルチチャンネルでも本編と同じような音響にしてあるので、連続して聴ける。

ジャニス・ジョプリンのミラクルなヴォーカルを聴けるライヴ盤

 『チープ・スリル』はビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーのライヴ盤。ヴォーカルのジャニス・ジョプリンのレコードとして有名です。1968年発売。ビルボードでも1位となった名盤。
 SACD2chで聴くと骨太の音に満足します。現代のライヴ録音とちがってパワフルで厚みがある音。
 我々を魅了するのは、ジャニス・ジョプリンのミラクルなヴォーカルです。しかしジャニス以外のメンバー(野郎たち)の演奏もかなりいいと思います。ギター、ドラムスがガンガン演奏しているからこそ、ジャニスの鬼気迫るヴォーカルが生きていると思います。
 このアルバムは荒削りな仕上がりですが、聴けば聴くほど魅力がでてくる作品です。あの頃のスピリッツが宿っている1枚。CDでスマートに聴いても「仏作って魂いれず」になりかねません。アナログライクなSACDがオススメですね。

マルチチャンネルで“あの時代”が注入されたライヴ盤になった?

 2chで聴いて、「ジャニスってすごいなあ、一度でいいから生で聴いてみたかった」と思ったら、マルチチャンネルを聴いてみてください。
 オープニングの軽快な「Combination of the two」がリスニングルームに広がった瞬間から、天井と壁はとりはらわれ、コンサート会場に飛び込んだ気分になります。頭の上には青空がスカーと広がっているよう。
 とどろき、うねるバンドの反射音。ジャニスの声との距離感。後ろから包みこむ観客の拍手(別トラックであったのか)などなど、サラウンドでは「あのレコードのコンサートに来たぁ!」と、タイムマシンで戻ったような音響になります。
 もちろん1968年の音源だから、音響操作で作り上げたミックスでしょう。最新録音の自然な響きのマルチチャンネルとくらべたら“チープな”サラウンドではあります。
 しかし、これでライヴ会場の高揚する気分になってしまうから不思議です。出来もそんなに悪くないと思います。
 マルチチャンネルに比べると、ステレオ再生は、スタジオ録音と思えてしまうほど(もちろん音と演奏は文句なしだが)。『チープ・スリル』は、マルチチャンネルで“あの時代”のスピリッツが注入されたライヴ盤になった気がします。
 アルバムは進み「Turtle Blues」では一転してジャジーな空間になる。この空間の変貌もサラウンドでは息をのむ。どこまでも味わえるマルチチャンネルです。これはSACD専用ディスクです。

2009.6.1