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ザ・ローリグ・ストーンズ
イングランズ・ニューエスト・ヒット・メイカーズ


The Rolling Stones
England's Newest Hitmakers
Hybrid Stereo/Multi-ch
1964年発表
輸入盤と国内盤 Abkco
SACDハイブリッド

Amazon

デジパック仕様。ピクチャーレーベル。

英オリジナル盤ジャケットはバンド名、タイトルがないシンプルなものだったが、米盤では入る。それでもこの写真はカッコいいと思います。

国内盤は、輸入盤に日本語解説を同梱したもの。

アメリカ編集盤中心によるSACDしリース

 ローリング・ストーンズのSACDハイブリッド盤は、abkco(アブコ)から2002年にリリースされています。いずれも名エンジニア、ボブ・ラドウィックが世界中から集めたオリジナル・マスター・テープから、DSDマスタリング。
 残念ながらアメリカ盤中心のラインナップですが、「60年代のストーンズ」がSACD化されたのは、 まぎれもなく幸運なことだったと思います。

アメリカでのデビュー盤。若きR&Bバンドの、みずみずしさ

 本作はストーンズの米デビュー盤。英オリジナル盤にはなかった、当時のUSデビュー・シングル「ノット・フェイド・アウェイ」をアルバム冒頭に収めています。そのあとに、英オリジナル盤の曲順が続くという構成(1曲はカット)。
 このアルバムを聴くと、デビュー時のローリング・ストーンズは、ロックン・ロール・バンドではなく、若きR&Bバンドであります。
 その“グルーヴ感”がたまらない。チャック・ベリー、ジミー・リードから、マーヴィン・ゲイなどを、マニアックに敬愛したカヴァーを披露してくれます。
 もちろんストーンズの、オリジナルな臭いは十分にあります。でも、「無心なR&Bにたいする愛情」が、とてもみずみずしいのです。

SACDの音はオリジナル音源の音を、ストレートに再現?

 アメリカではモノラルとステレオの両盤が発売されましたが、当然ながらモノラル・ヴァージョンをこのSACDは収録。
 CD層の音を聴くと、64年作品なので、さすがに厚みはないものの、ハリのある、光沢のある音です。
 SACD層では、音の厚みはCD層と、それほど変わらないものの、CD層で感じられた「金属的な輝き」が無くなり、「マットなツヤ消し風」に感じました。
 CD世代は、これを「明るさと輝きが無くなった」と、とるかもしれません。しかし僕らの世代では「アナログの音に近づいた」と思うわけです。
 その証拠に、1曲目のシングル「ノット・フェイド・ アウェイ」と、2曲目からの英オリジナル・アルバムの曲では、音質に差があるのがSACDでは、よく分かります。
 「ノット・フェイド・アウェイ」はややダンゴ調の音。分離がいいほうではありません。
 それが2曲目から、各楽器の分離のいい音になるのです。CDではメリハリが効いているので、両者が均一化されていました。はからずも、SACDではオリジナル音源の差を、ストレートに再現してしまうようです。

“骨太のモノラルらしい音”を出すトラックも

 それでもSACDの音は、オリジナル音源がそうだったのでしょうが、「ハイファイとしてのモノラル」には、ちょっと届かない硬質的な音質。
 しかし、メンバー共作(ナンカー・フェルジ作という偽名)の、即興的な2つのトラックや、LPではB面トップだった「キング・ビー」、イアン・スチュアートのピアノがカッコいい「キャン・アイ・ゲット・ア・ウィットネス」、ルーファス・トーマスのカヴァー「ウォーキング・ザ・ドッグ」などなど、“骨太のモノラルらしい音”を堪能できるトラックもかなりあります。
 ストーンズの原点、それをSACDで聴ける喜びは、やはり大きいと思います。

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ストーンズのSACDハイブリッド・シリーズ
SACDハイブリッドでリリースされています。2002年にAbkcoからリリースされたSACDハイブリッド盤をまとめてご紹介。

B00006L9SF
イングランズ・ニューエスト・ヒット・メイカーズ
64年発表。アメリカ編集盤でアメリカでのデビュー盤。全曲モノラル。
England's Newest Hitmakers [from US]

B00006L9SG
12×5
64年発表。アメリカツアー中にシカゴ、チェス・スタジオで6曲録音。モノラルとステレオが半々で収録されている。
12 X 5 [from US]

B00006L9SH
ザ・ローリング・ストーンズ・ナウ!
65年発表。これもアメリカ録音を含む3枚目の作品。オリジナルは4曲収録。
Now! [from US]

B00006AW2E
アウト・オブ・アワ・ヘッズ(UKバージョン)
65年発表。全曲モノラル。UK盤はオリジナルアルバムとしてまとまりがある。
Out of Our Heads [from US]
Out of Our Heads [from US]

B00006RT4P
アウト・オブ・アワ・ヘッズ
65年発表。ビートルズもそうだが、アメリカ編集盤はヒットシングルを加えるのが“お約束”。大ヒット曲「サティスファクション」を収録。
Out of Our Heads [from UK]
Out of Our Heads [from US]

B00006L9SK
ディッセンバーズ・チルドレン
ジャケットがUK盤『アウト・オブ・アヘッド』と同じだがタイトルも違えば曲も違い、「一人ぼっちの世界」を収録(その時点の最新録音)。1曲をのぞきモノラル。
December's Children [from US]

B004EMWC24
ビッグ・ヒッツ(ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス)
66年発表。64年〜66年の当時のストーンズ入門用ベスト盤。「サティスファクション」はステレオ・ヴァージョン。このSACDシリーズのなかでは珍しいカラー写真のブックレット付。これはSHM-SACDではありません
Big Hits [from US]
ビッグ・ヒッツ(ハイ・タイド・アンド・グリーン・グラス)

B00006LST4
アフターマス(UKバージョン)
66年発表。ストーンズ初の全曲オリジナル。ブライアンの12弦ギターがひかる「マザーズ・リトル・ヘルパー」がアルバムの最初。
Aftermath [from US]

B00006JOQT
アフターマス
66年発表。UKから少し遅れて米でリリースされたこちらは、ジャケットも内容も一部違っている。シングル「黒くぬれ!」を頭に収録。
Aftermath [from UK]
アフターマス

B00006LST5
ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット
66年発表。66年9月のイギリス公演を収録したライヴ盤。世の中もストーンズもサイケになりだした頃だが、ライヴでは熱き演奏。
Got Live If You Want It [from US]
ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!

B00006LST7
ビトウィーン・ザ・バトンズ(UKバージョン)
67年発表。オリジナルのUK盤は、ヒットシングルがない分、派手さにはかけるが、アルバムのトータル性は米盤より上(オリジナルだから当たり前だが)。
Between the Buttons: UK Version [from US]

B00006LST6
ビトウィーン・ザ・バトンズ
67年発表。デビュー時のR&Bカヴァーから、大分離れた感のある作品だが、この時期独特の味わいがある。例によってアメリカ編集なのでヒット・シングル「夜をぶっとばせ」「ルビー・チューズデイ」を収録。
Between the Buttons [from US]

B00006JOQY
フラワーズ
67年発表。65年〜66年のシングルと、アメリカでは未発表、英米とも完全未発表の曲で構成した作品。
Flowers [from US]
フラワーズ

B00006JOQZ
サタニック・マジェスティーズ
67年発表。ビートルズの「サージェント・ペパーズ」を意識したストーンズらしいサイケデリック・アルバム。失敗作とみなされているがいい曲も多い。 ジャケットは光沢あり。
Their Satanic Majesties ... [from US]
サタニック・マジェスティーズ

B00006LSTA
ベガーズ・バンケット
68年発表。ここからストーンズの60年代後期絶頂期か。サイケから完全に離れ、泥臭くローファイな演奏が特徴。「ストリート・ファイティングマン」など。70年代を予感するマッチョなイメージも出てくる。これはSHM-SACDではありません
Beggar's Banquet [from US]

B00006LSTB
スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツ Vol.2)
69年発表。この年の7月死去したブライアン・ジョーンズ追悼としてリリースされたベスト盤、収録時期は60年代後半のもの。当時最新シングル「ホンキー・トンク・ウーマン」も収録。
Through the Past Darkly ... [from UK]

B00006LSTC
レット・イット・ブリード
69年発表。ストーンズの代表作でもっとも人気が高いと思われる作品。どこを切ってもストーンズ。これはSHM-SACDではありません
Let It Bleed [from US]
レット・イット・ブリード

B00006AW2K
ゲット・ヤー・ヤ・ヤズ・アウト
70年発表。69年11月のNYマジソン・スクエア・ガーデンでのライヴ録音。2年半ぶりのツアーだった。 SACDラボレビュー
Get Yer Ya Ya's Out [from US]
Get Yer Ya Yas Out [from US]

B00006LSTE
ホット・ロックス
72年発表。ロンドン・レーベル時代をすべて網羅したベスト盤。70年代の作品「ブラウン・シュガー」「ワイルド・ホーセズ」も入っている。この2曲のSACD化もうれしい。
Hot Rocks 1964 [from UK]

B00006LSTF
モア・ホット・ロックス[+3]
72年発表。音源をにぎったレーベルが勝手にベスト盤をだしてしまった時代。それでもヴァージョン違いの曲もあり、ファンは聴き逃せないかも。これもSACD化されてしまうのも、ファンにはうれしいような。ボーナストラック3曲収録。
More Hot Rocks [from US]

B00006LSTG
シングル・コレクション(ロンドン・イヤーズ)
89年発表。60年代のシングルAB面を3枚組に集大成した。シングルでたどることで、当時のロンドン・デッカ時代の空気が蘇る。レノン&マッカートニーによる「彼氏になりたい」は、このアルバムだけに収録。「ストリート・ファイティング・マン」はモノ・バージョン。SACDラボレビュー
The Singles Collection: ... [from US]

B00006AW2F
メタモーフォシス(UKバージョン)
72年発表。60年代の未発表曲、未発表テイクで構成された作品。
Metamorphosis [from US]
Metamorphosis: Early Demos [from US]

2011.1.7