このカラヤンはいい。精気あふれるベートーヴェン
カラヤンが初めてベルリン・フィルと組んで完成させたベートーヴェンの交響曲全集です。カラヤンは、その後何度もベートーヴェン交響曲全集を録音しますが、グラモフォンが、SACD化に選ぶだけあって、この1回目の全集が、演奏的にいちばん素晴らしいと思います。
カラヤンというと、眉をひそめるクラシックファンもおりますが(それもわかります)、この全集の演奏はいいですよ。
そのアプローチは、トスカニーニのように「即物主義」と言ってもいいもので、のちのカラヤン特有のあの“余計なまでのゴージャス演出”がない、シンプルなものです。
最近はオリジナル楽器のアプローチに則した演奏が、モダンオーケストラでも聴けますが、カラヤンはここでとっくに、やってしまっているような気もします。
とはいっても、演奏は精気あふれるベートーヴェンで、僕など第3番〈英雄〉はアナログ・レコードからの愛聴盤であります。
また、ベルリン・フィルの音もいい。オーケストラが、まだカラヤンに寄り添っていない。バリっとした精気あふれる音であります。
ということで、当時からクラシックファンにも人気だったこの全集をSACDで楽しみましょう。
まず、バラ売りで買うのなら、僕の好みで言わせてもらうなら、〈英雄〉と〈合唱〉がオススメです。
〈英雄〉は先にも書きましたが、第1楽章、第2楽章が本当に素晴らしい。第1楽章など、これぞ駿馬空を飛ぶ〈英雄〉であります。〈合唱〉も同じく演奏がいい。またオーディオ的にもオススメ。オーケストラの伸びやかさ、空間の出かた(空気感)など、「これが62年の録音か!?」と、ウットリすることでしょう。
Amazon
カラヤンのバラ売りのSACD
2006.12.30
|