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佐渡裕指揮/NHK交響楽団 ホルスト:組曲「惑星」

Hybrid Stereo/Multi-ch
国内盤、エイベックス
ライヴレコーディング

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「惑星」を見直してしまう演奏と録音

 ホルストの「惑星」というと、どうしてもクラシックの中ではお手軽曲。はっきり言って他の作曲家の作品より軽く見られている。
 僕も「惑星」は、長年「面白いから」という理由で聴いてきましたが、この演奏を聴いて「『惑星』ってこんなに良かったか!」と思い直しました。
 今までレコードやCDで聴いてきた「惑星」は、星の描写、つまり絵空事のようなイメージだったのだが、佐渡指揮だと、マグマまでグワァーとくる感じがした。「火星」など迫力満点です。
 「土星」はワグナーの「トリスタンとイゾルデ」を思わせる、忍び寄る神秘的な演奏。
 最後の「海王星」は、通常の女性合唱のかわりに少年少女合唱隊です。声が子供の声に変わっただけで、クラシックの曲というより、宇宙のサウンドみたいな不思議な印象になりますね。この曲は、エンディングの消えていく緊張感がすごい。
 佐渡裕というと、ちょっと仰々しいかな、と思っていましたが、これはいい演奏だと思いました。師バーンスタインの躍動感とねっちり感が、いい感じで出ていますね(ちなみにバーンスタインがニューヨーク・フィルを振った「惑星」のSACDも聴いていますが、この佐渡盤のほうが「惑星」を体感できます)。
 マルチチャンネルも収録。これはマルチの見本みたいな優秀録音だと思います。空気間があり、その中で音が抜群の鳴り方をしました。オーケストラの各パートの距離感もちゃんとでてる。合唱はやや上から聞こえる。収録されたタケミツメモリアルでの実演もそうだったらしい。

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2008.4.16