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コチシュ(ピアノ)ケレメン(ヴァイオリン)
バルトーク:ラプソディ、スケルツォ、ヴァイオリン協奏曲第1番

Hybrid Stereo/Multi-ch
輸入盤、Hungaroton classics

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・ラプソディ Op.1
・スケルツォ Op.2
ゾルターン・コチシュ(p)
イヴァン・フィッシャー指揮/ブダペスト祝祭管弦楽団
録音1986年(Op.1)、85年(Op.2)

・ヴァイオリン協奏曲第1番
バルナバーシュ・ケレメン(vi)
ゾルターン・コチシュ指揮/ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
録音2006年

バルトークの管弦楽を、名手コチシュのピアノとフィッシャーの指揮で

 管弦楽曲「ラブソディ」と「スケルツォ」は、若きバルトークの作品です。バルトークというと「管弦楽のための協奏曲」などが有名ですが、この作品番号1と2を持つ若い時代の作品も、いいですねえ。初めて聴きましたがすぐに気に入りました。
 とくに「スケルツォ」での躍動感は素晴らしく、バルトーク独特のバーバリズムみたいなものに胸おどります。生前は出版も演奏もされなかったのが信じられません。
 これらの曲でピアノを受け持つのが、ゾルターン・コチシュ。シフ、ラーシキと並び、かつて“ハンガリーピアニスト三羽ガラス”と呼ばれた人です。
 コチシュという名前だけで、バルトーク物には反応してしまうクラシックファンも多いのではないでしょうか。もちろん期待にたがわず、いい仕事してます。でもって指揮者がイヴァン・フィッシャー。彼も今や大活躍ですね。

曲も凄いが、ヴァイオリンのケレメンにもびっくりする

 ヴァイオリン協奏曲第1番も、バルトークの生前には出版、演奏されなかった曲。遺作として世に出ましたが、これも、かつてたった1曲と思われていたヴァイオリン協奏曲第2番と、甲乙つけがたく素晴らしい曲です。
 バルトークが好きだった(?)若き女性ヴァイオリニスト、ステフィ・ゲイヤーの面影を盛り込んだのか、すごくロマンチックなところもあり、「管弦楽のための協奏曲」ばりの、管楽器がバックで印象的なところもあり、これぞバルトーク、という曲です。
 さらに驚きは、独奏ヴァイオリンのバルナバーシュ・ケレメン。
 この人の演奏は初めて聴きましたが、音色と演奏にビックリしてしまいました。すごく研ぎ澄まされた独奏。それが尋常じゃない。トンがっております。
 最初、この興奮に「やっぱり、バルトークの曲はすごいなあ」と思っていた。ところが、なんでもケレメンは“ハンガリーのクレーメル”と異名があるとか。そうそう、キドン・クレーメルと同質の“トンガリ”でした。指揮は歳を重ねたコチシュ。

80年代のフィリップス録音と2006年の録音

 ジャケットの印象がシブイので、「録音が古い?」と勘違いする人もいるかもしれませんが、そんなに古くありません。
 「ラブソディ」「スケルツォ」は80年代中ごろの録音。フィリップスの制作によるものです。この時代ならデジタル録音と思いますが、なんかアナログ録音のような伸びやかさと温もりを感じました。
 マルチチャンネルも、スピーカーの存在が消えるように前方に広がり、まったく不自然さがありません。うまく作られていると思いました。
 この2曲がいい音ですので、2006年録音の、ヴァイオリン協奏曲第1番へ違和感なく聴き続けていけます。それでも気持ち、ヴァイオリンの抜けの良さに最新録音の面目躍如といったところでしょうか。
 本作のレーベル、フンガロトンはCD時代からハンガリー物で有名なレーベル。バルトークのSACDをシリーズで製作中です。

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Hungaroton、バルトークのSACD

『かかし王子』『コシュート』
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44の二重奏曲、ハンガリー民謡集
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管弦楽のための協奏曲、舞踏組曲、ハンガリー農民の歌
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コチシュは近年指揮もするようになりました。コチシュ指揮ハンガリー国立フィルによる「オケコン」。

2008.9.7