topaboutblogclassicaljazzpopsjpopselect
S
ウィスペルウェイ(チェロ)&ラツィック(ピアノ)
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集&変奏曲集

ディスク
Beethoven: Complete Sonatas & Variations
Pieter Wispelwey


録音2004年12月
輸入盤、Channel Classics
SACDハイブリッド2枚組

Amazon

三つ折りのデジパックに2枚収納。ブックレットにはピーター・ウィスペルウェイのライナー、Clemens Romijnのライナー、が数カ国であります。

DISK1
・チェロ・ソナタ第1番ヘ長調op5-1
・モーツァルトの『魔笛』の「娘か女か」の主題による12の変奏曲ヘ長調op.66
・チェロ・ソナタ第2番ト短調op.5-2
・ヘンデルの『マカベウスのユダ』の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲ト長調WoO.45

DISK2
・チェロ・ソナタ第3番イ長調op.69 ・チェロ・ソナタ第4番ハ長調op.102-1
・チェロ・ソナタ第5番ニ長調op.102-2
・モーツァルトの『魔笛』の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲変ホ長調WoO.46

ベートーヴェンの各時代をチェロ・ソナタでも

 このSACDはベートーヴェンのチェロ・ソナタ全曲と変奏曲を収録したものです。演奏は1760年グァダニーニというチェロを奏するウィスペルウェイと、パートナーとしてよく共演するラツィックです(ピアノはスタインウェイ)。
 ベートーヴェンのチェロ・ソナタは全部で5曲ありますが、交響曲や弦楽四重奏と同じく、初期、中期、後期とベートーヴェンらしい楽風の変遷を伺い知れて、全曲をまとめて持っていたほうが楽しいです。
 第1番と第2番が初期、第3番が中期、そして第4番と第5番が後期となるでしょうか。対となる第4番と第5番は、厳密には後期の始まる前のスランプ期に書かれた(ゆえに燦然たる)作品ですので、後期よりはちょっと早いですが、すでに後期特有の力みのない自然体の楽風を感じられて、後期の作品といってもいいのではないでしょうか。
 まあ初期、中期、後期といっても、初期から若きベートーヴェンは独自の良さがあるのでどれを聴いても満足すると思います。
 同時収録の変奏曲は3曲。うち2曲はモーツァルトの〈魔笛〉の主題による変奏曲です。ベートーヴェンに編曲されチェロになって奏でられても、パパゲーノはあいかわらずパパゲーノ。これを聴くたびに、作風のまったくちがう二人が、同じ時代を少ない期間でも生きていた、そしてベートーヴェンがそのあとに繋がっている、と改めて思ってしまいました。
 なお各変奏曲はチェロ・ソナタと交互に収録されていて、聴いていて飽きさせないようになっています。

マルチチャンネル

 マルチチャンネルで聴きましたが、そんなに広くない、室内楽らしい空間が広がります。スピーカーは存在がなくなります。
 そこにあらわれるチェロやピアノは、マルチチャンネルといってもキレのよい音です。
 ウゥベルウェイのチェロは古楽器だけあって、透明な音。モダン・チェロとは違う、特有の音色は魅力です。
 スタインウェイ・ピアノもグァダニーニの繊細な音と違和感なく溶け込んでいるのは好感がもてました。もちろんフォルテでは雄大に迫力をもって鳴り響き、ダイナミックなところは遠慮なく鳴らしてきます。

Amazon

ウィスペルウェイとラツィックのSACD
ブラームス:チェロソナタ(Hybr)
・チェロ・ソナタ第1番ホ短調 Op.38 ・チェロ・ソナタ ニ長調 Op.78(原曲:ヴァイオリン・ソナタ第1番) ・チェロ・ソナタ ヘ短調 Op.120-1(ウィスペルウェイ編曲/原曲:クラリネット・ソナタ第1番)
2010.6.22