
内田光子(ピアノ)
マーク・スタインバーグ(ヴァイオリン)

録音2004年6月-7月
HMV
モーツァルトのウィーン時代の3大ヴァイオリン・ソナタはK.454、K.481、K.526。このうちk.526は今回収録されたので、k.454とk.481もそのうち録音してほしいものである。
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モーツァルトの秘密の花園、ヴァイオリン・ソナタ
モーツァルトが聴ける一生は、うれしい一生であると考えている。
たとえつつましい人生でも、モーツァルトの音楽を聴いていると、聴いていない人より、お屋敷1個分くらいの喜びを、余分にもらった感じだ。それくらいモーツァルトの音楽は特別です。
いきなりモーツァルトを、お屋敷1個分にたとえちゃったけど(これじゃあ安すぎるよね)、実際にモーツァルトで人気のあるジャンルは、ピアノ協奏曲、オペラ、交響曲などだろう。お屋敷では目立つ建物みたいなもの。
しかしモーツァルトは室内楽もいいのです。ヴァイオリン・ソナタも、地味ですが、聴けば聴くほど素晴らしい。先程のたとえなら、お屋敷のなかの、人目につかない秘密の花園を発見したような喜びに浸れますね。
モーツァルトのヴァイオリン・ソナタが楽しめる選曲
モーツァルトはヴァイオリン・ソナタを、幼少から晩年まで、広い時期にわたって作曲しているので沢山残しています。
最初はピアノのおまけ的存在だったヴァイオリン・パートも、しだいに対等になり、やがてヴァイオリン・ソナタ独自の世界をつくりだしました。
このSACDではそのなかでも優れた曲が収録されています。第2楽章のシリアーノ風変奏曲が哀しいK.377、出だしの旋律の美しいK.303、モーツァルティアンに人気の高いK.304、ヴァイオリン・ソナタの最高峰の誉れ高いK.526。
これ1枚でモーツァルトのヴァイオリン・ソナタが満喫できます。無人島にもっていくなら…というSACDですね。
スタインバーグのヴァイオリンは、ビブラートなし。古楽器風のアプローチなのかな。内田光子のピアノは、わたしがどうこう言うまでもなく「モーツァルトの世界に連れてって」と聴いていくだけであります。よくこんなニュアンスで弾けるものだなあ、と。
マルチチャンネルはサブ・ウーファーなしの5.0ch。ホールトーンを強調するものではなく、左右、後ろは、すごくうすーい残響音にとどめています。
よかったら聴いてみてください。気に入ったら、あなたもモーツァルティアンです。
HMV
2005.8.2
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