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ギーレン指揮SWR南西ドイツ放送交響楽団
シェーンベルク:グレの歌


輸入盤、hanssler classic
2枚組

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角の丸い一枚ものプラケースに2枚収納タイプ。

SACD1が約56分、SACD2が約65分。トータル222分56秒。最初は3回に分けて聴きました。

原語と英語の歌詞。

大作〈グレの歌〉にSACDで挑戦です

 〈グレの歌〉は〈浄夜〉とならんで、シェーンベルクのロマン派期の作品です。デンマークの作家ヤコブセンの詩集をもとに作った声楽とオーケストラによる作品。とにかく巨大な編成で、スコアも特注で、普通より段数の多い楽譜を使ったとか。
 こんな大作ですから、演奏者を刺激するみたいで、昔から録音は多いみたいです。
 しかし、それゆえ聴き手には少々重く、僕もアナログ盤時代から、何度も挑戦してきましたが、どうも最後まで聴けなかった。
 なので「SACDの聴きやすさ(特にマルチチャンネル)なら、〈グレの歌〉も好きになれるのではないか」。そう目論んで、今回ギーレン盤を聴いてみました。

ロマン派といいながら、再生音はスッキリといい感じ

 マルチチャンネルの再生は期待以上に良かったです。大編成のオーケストラと大合唱が、鳴り響くわけですが、僕の部屋のような小部屋でも、それが綺麗に前方に広がり奥行きを持ちます。これはクラシックのSACDの鳴り方では、かなり好きな響き方ですね。
 なので〈浄夜〉のようなコッテリした音が襲いかかってくると思っていたのですが、そうでもなく、「ロマン派の究極」と言われながら、沢山の音の重なりがすごくスッキリ聴けました。
 もっとも、ギーレンの演奏もそういう目論みかもしれない。他の〈グレの歌〉の録音を知らないので、ギーレン盤がどんな立ち位置かわかりません。しかし70年代以降は、十二音技法の(洗練された)シェーンベルグを視野に入れた演奏も多いらしいので、このギーレン盤もそうかもしれません。
 とはいっても、まずはワグナー! そしてリヒャルト・シュトラウス、マーラーを彷彿とさせる音楽は、ロマン派そのものであります。
 とにかく、このSACDで〈グレの歌〉を最後まで聴くことができ、この作品が聴き手にとって「やっかいな代物」ではないことがわかりました。
 ひととおり聴いただけでも、好きになれそうな扉がいくつもあることがわかった。遅まきながら〈グレの歌〉は、かなり気に入る作品になりそうです。

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2007.9.27