Miles Davis
A Tribute to Jack Johnson
録音1970年
国内盤、ソニーミュージック
SACD専用ディスク
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ソニーのSACD初期の正方形デジパック仕様。
ペラ4つ折の解説書には、中山康樹氏のライナー(1996年筆)、マイルス・デイビスのオリジナル・ライナーノーツの日本語訳。
ジャケット裏は、発売時のアナログ盤ジャケットの絵(下)
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マクラフリンのギターが最高にカッコいい、ロックなマイルス
本作はマイルスの1970年2月と4月の録音。
『ジャック・ジョンソン』という映画のサントラとして発売されましたが、音楽は映画のために録音されたのではありません。プロデューサーのテオ・マセロが、マイルスのセッション録音を、映画音楽用に編集して完成させたものです。
26分におよぶ「ライト・オフ」がとにかく聴きものです。
マイケル・ヘンダーソンのベースに乗って、ビリー・コブハムがロック・ドラムを叩く。
そこにジョン・マクラフリンの、強烈でソリッドなギター・カッティングが加わる。
なんてカッコいいギター!。
本作の主役はマイルスではなくジョン・マクラフリンであります。
ロックでも、こんなにカッコいいギターは、お目にかかれません。ビリー・コブハムのシャッフル調ドラムとからんで、最高の演奏を聴かせます。
マイルスもバリバリ吹きまくる
これがジャム・セッションだったとはビックリ。それまでコントロール・ルームで世間話をしていたマイルスが、この演奏を聴いて飛び入りするのです。
そして、マイルスが登場!
『フォア&モア』を思わせる力強いトランペットは、この時期のマイルスでは出色。ジャケット写真のイメージそのままに、見事なソロを吹き捲くります。
もちろん、その間もマクラフリンのギターが耳を離しません。
「ライト・オフ」は完璧なロック。マイルスの全キャリアの中でも、最高に胸躍る作品で、もっとも聴きやすい“エレクトリック・マイルス”です。
もう1曲の「イースターナウ」もテオ・マセロの編集で制作されたもの。スローテンポから徐々に、盛り上がります。最後の方には『イン・ア・サイレント・ウェイ』やビッグ・バンドの音源も、少し重ねられています。
ふっくらと丸く、立体的に浮かび上がっているような音(空気感)
左にマクラフリン、右にドラム、センターにトランペットとベース。あとサックスなど。各楽器は生音、オンぎみに現れます。
音はやわらかく、各楽器がふっくらと丸く立体的に浮かび上がっているような音(空気感)。この独特の感触はSACDならではでしょう。
音質で個人的に気に入ったのはドラムスで、「ドラムスにも倍音があるのではないか」と思うようなふくよかさ。
こんな音で、『ジャック・ジョンソン』の豪快な演奏を聴くのはたまりません。
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マイルス・デイビスのSACDレビュー
2011.11.19
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