鈴木慶一が、曽我部恵一とコラボしたソロ作品
鈴木慶一の新しいアルバムが、SACD仕様でリリースされた。『ヘイト船長とラヴ航海士』なんて、70年代の『火の玉ボーイ』を思わせるレトロなタイトル。さっそく聴いてみました。
音楽は、鈴木慶一と、プロデュースもかねている曽我部恵一の2人による作曲と演奏。2人の“ケイイチ”のコラボ作品だ。
今のコジャレたJ-POPの曲とは、一味ちがう曲ばかりです。ここにはダンサフルな曲もなければ、ケツの青い人生応援歌風の曲もない。
鈴木慶一らしい渋い曲がならぶ。初めて聴いた時は「地味だなあ」と思うかもかもしれない。でも、繰り返し聴いていると、だんだん良くなってくるから不思議です。
年季というか、マイペースな力の抜き具合が丁度よい。どれも心象風 景のようで、ごつごつとした詞とメロディーは、つき合うほどに「あら、こんな曲だったの」と、新しい顔をみせてくれるのです。
アルバムは切れ目なくつづき、トータルな仕上がり。無声映画のコラージュを観ているような、聴き手にイメージを想起させるアルバムになっている。全体で46分という長さも、われわれ音楽好きには聴きやすい。
マルチチャンネルは、レトロな近未来を旅する気分で
マルチチャンネルは力の入った仕上がりになっている。
サラウンドは、広がりと、方向性の両方をバランスよく組み合わせて、十分に楽しませてくれる。「Skanpin Again」の、リスニングルームに広がる豊かなハーモニーは特に気に入った。
できればマルチチャンネルで聴いてもらうと、数倍、世界が広がるアルバムです。いろいろな効果音、アンビエント音などがあいまって、小劇場のような空間にも思える。またはクルーザーに乗って、46分間のレトロな近未来を旅する気分か。
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鈴木慶一プロデュース、26年ぶりシネマの復活盤 シネマ・リターンズ
 2008.2.20
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