![]() TEMPTATION |
2021年9月13日 文・杉田ヨシオ
オーディオ愛好家に人気のあるEvosoundからリリースされたシャンタル・シャンベラン(Chantal Chamberland)の通算7枚目アルバム『TEMPTATION』を取り上げる。
聴いたのはアナログ・レコードであるが、SACDハイブリッド、MQA-CDでもリリースされている。SACDとMQA-CDの曲数はアナログより多いようだ。
シャンタル・シャンベランはカナダのシンガーだ。ジャズ・シンガーと紹介されることもあれば、シンガー・ソングライターと紹介されることもあるようである。
いずれにしても、スモーキーなヴォーカルが最大の魅力だ。
このアルバムには自作のほかに、トム・ウェイツ、ビル・ウィザーズ、ジャスティン・ティンバーレイク、マイケル・ジャクソン、ロドリゲス、シェール、U2、スノーパトロールなどの曲をカヴァーしているという。
あいにく筆者はオリジナルの曲は知らないのだが、単純にシャンタル・シャンベランのアルバムとして聴けた。そしてとても楽しめた。彼女のムードのあるヴォーカルだけで満足なのだ。
アルバムのジャケット裏にはシャンタル・シャンベランがエレクトリック・ギターをかかえた写真が載っているが、演奏はエレクトリックな要素はそんなに入っていないと思う。アコースティックを中心にし、音数の少ない、余白のある演奏である。Evosoundらしくオーディオ・ファイルが好むような音に仕上げてある。
そして彼女のヴォーカルだが、先に“スモーキー”と紹介したものの、このアルバムでは個人的に、そんなにコテコテのスモーキーとも思わなかった。“落ち着いた大人のヴォーカル”といった感じだ。そのあたりアルバムによって違うかもしれないが。
もちろんCCRもカヴァーした「アイ・プット・スペル・オン・ユー」などはシブくまとめているが、アルバムは多くのポピュラー・ファンに楽しめる内容だ。筆者もそこが気に入ってここに取り上げた。
筆者はボサ・ノヴァ調の「Love Never Felt So Good」や、バラードの「Believe」「I Wanna Dance With Somebody」などが気に入った。秋の夜長にしっとりと流してみたい。
アナログ・レコードの音はヌケのいい空間だ。中域から低域にかけて豊かな音。「これなら高域も澄んだ音だろう」と思ったところシンバルなどが鳴ってみると、やはりそのとおりだった。現代のアナログ・レコードの音の良さを感じさせる。
最初に書いた通り、SACDハイブリッドとMQA-CDでもリリースされている。読者もご自身のシステムで鳴らしてはいかがか。
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