ジャンル SACD
ポップス・スーパーオーディオCD(SACD) おすすめソフトレビュー

エマーソン・レイク&パーマー 恐怖の頭脳改革(デラックスエディション)

EMARSON LAKE AND PALMER
BRAIN SALAD SURGERY
Hybrid Stereo/Multi-ch
輸入盤
3枚組デラックスエディション

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ジャケットはギーガーによるもの。

4枚開きにCD2枚をトレイに収録。3枚目のSACDは、ブックレットと一緒に挟まれているので御注意を。

ブックレットには、当時を振り返るライナー(英文)、ギーガーのジャケット原画を見るメンバーの写真などあり。

アナログ・レコードでは収録時間の関係で、パート1、パート2と分かれていた「悪の教典#1」が、綺麗に繋がっている。これもアナログで聴いてきた筆者にはうれしい。アナログ音源で使用された繋ぎ部分は、ご丁寧にもCD2の抜粋の中に入れてある。

EL&Pの最高傑作にして、プログレの代表作

 エマーソン・レイク&パーマー(EL&P)の『恐怖の頭脳改革』がSACD化されました。1973年発表の本作は、ピンク・フロイド『狂気』、イエス『危機』と並ぶプログレの代表作です。
 EL&Pの魅力はなんといっても、3人の超絶テクニックでしょう。特にキーボードのキース・エマーソンは、キーボーディストにとってカリスマ。ドラムのカール・パーマーもすごい。これにグレグ・レイクを加えた3人のアンサンブルは人間わざとは思えません。
 『恐怖の頭脳改革』はそんな彼らの絶頂期の作品で、曲、演奏とも大変ストレートです。プログレとはいいながら、まるで“ロックンロール”のような爽快さ。まるで“スイングジャズ”のような快感。一秒たりとも退屈するところがない作品と言えましょう。

3枚組デラックスエディションでのリリース

 本ディスクは発売35周年のデラックス・エディションです。
 1枚はオリジナル作品のCD、
 もう1枚はボーナスディスクCDで、アルバム未収録曲「あなたのヴァレンタイン」「恐怖の頭脳改革(アルバムタイトルと同じ曲)」、別ミックス、35周年記念バージョンによる本編全部(今まで未リリース)、抜粋などが収録されています。
 そして3枚目がオリジナル作品のハイブリッドSACD。SACD層は2chステレオとマルチチャンネルを収録しています。

マルチチャンネルで、三次元の頭脳改革に飛び込め!

 マルチチャンネルはとてもいいです。3人ユニットのため、音数的に空間が埋まるかと危惧していましたが、今のマルチは残響音などで綺麗に広げるから、まったく問題なし、でしたね。
 サラウンド空間は、今まで二次元で観賞していた絵画が三次元になり、自ら頭脳改革の中に飛び込んだ感じです。
 一番凄いのはやはり「悪の教典」で、迫り来るシンセやオルガン、パーカッションの音が、360度の空間を使って大きく鳴り響く。ステレオでは左右に動きまくっていた効果音は、ぐるぐると自分の周りを回る。
 カール・パーマーの、ダーーーーーアアア!と大きくなるスネアのローリングは、リア全面から津波のように押し寄せる。これは凄い。
 逆に「悪の教典#2」の静かな部分では、荒野に放り出されたような遠近感に息も止まりそうになる。
 ……と、いちいち説明すれば、こんな言葉になるのだが、ピンク・フロイド『狂気』のマルチチャンネルもそうだったように、聴いていてまったく違和感がないのは、2chアナログ時代から、聴く者は頭の中でこんな世界を想像して聴いていたからだと思う。
 マルチで聴くともう2chには戻れない。余生まで付き合いたいディスクです。音ももちろん文句なしです。

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2009.1.11
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