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ジェフ・ベック ブロウ・バイ・ブロウ

ジョージ・マーティンがプロデュースした70年代ロックの名盤

 本作は1975年の発売。ジェフ・ベックの代表作であると同時に、ロックの名盤、ギター奏者のバイブル的作品であります。プロデュースはビートルズのジョージ・マーティン。ロンドンのエアー・スタジオで録音されました。
全編がギターによるインストです。ロックというよりもフュージョン&ファンク的演奏。当時のハービー・ハンコックのようなノリです。なのでブリティッシュ・ロックというよりも、アメリカっぽいサウンドです。ジョン・マクラフリンのマハビシュヌ・オーケストラにも近い。
でもここでジョージ・マーティンの腕がさえる。いくつかの曲に提供したストリングス・アレンジが、(アメリカ人にはない?)深みと知性を与えます。曲間がない構成も含めて、やはりイギリス的ではある。

ソロだけでなく、バンドが一体となったギターインスト作品

 先に「ギター奏者のバイブル」と書きましたが、これはベックが単細胞にギターを弾きまくる作品ではありません。バッキングメンバーと一体となった演奏がすごいのです。なのでギター好き以外にも楽しめる文字通りロックの名盤なのです。
まずドラムのリチャード・ベリーがすごい。ロックならカール・パーマー、ジャズならトニー・ウィリアムスとタメをはれるくらい。キーボードのマックス・ミドルトンは、ハービー・ハンコックのようなファンクなノリで、フェンダー・ローズを浴びせかけてきます。
こんなリズム隊と超絶アンサンブルで、ベックはギターソロにのぞむわけですね。ドキドキするような「スキャッター・ブライン」、聞かせるバラード「哀しみの恋人達」など、動でも静でも聞かせます。

SACDで豪快にオーディオを鳴らそう

 75年の作ですが、SACDで聴く効果は大きいと思います。アナログライクな音の厚みは勿論、なによりSACD特有の「空気感」を感じる気がします。このニュアンスを言葉でいうのは難しいが、音がペタっとしていなくて、余白(空気)をともなっているように感じるわけです。
ドラムは、タムタムからスネアまで、フロント一杯に広がっているのですが、ジョージ・マーティンの録り方も良いのだろう、セットのひとつひとつが、綺麗に分かれて鳴ってくれる感じが伝わります。リチャード・ベリーがすごいドラムを叩くだけに、これはキモチいい。良いオーディオ装置であればあるほど、堪能できそうなSACDと思います。

 聴いたのは、国内盤で2chのみのSACD専用ディスクです。どうやらUS盤SACDではマルチチャンネルも収録しているらしい。
また2014年にはついに国内盤でも、マルチチャンネル収録のSACDが限定発売された。
興味のある方は、マルチチャンネルも聴いてみると思います。

Amazon(国内盤)
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Amazon(国内盤SACDマルチチャンネル・エディション)

2008.12.18