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鈴木雅明、バッハ・コレギウム・ジャパン
J.S.バッハ: 世俗カンタータ全集

J.S.バッハ:世俗カンタータ全集/鈴木雅明、バッハ・コレギウム・ジャパン

SACDハイブリッド10枚組/BIS/輸入盤

Tower Records | Amazon

鈴木雅明とバッハ・コレギウム・ジャパンによる『J.S.バッハ:世俗カンタータ全集』が、2019年にSACDハイブリッド10枚組で発売された。ずっと単売されていたが、全集が完成したところでボックスにまとめられての発売である。そのうち第1集「結婚カンタータ」「コーヒー・カンタータ」はCDでの発売だったものが、今回初のSACDハイブリッド化されて収録された。

『教会カンタータ全集』に続いてのボックス『世俗カンタータ全集』

鈴木雅明とバッハ・コレギウム・ジャパンというと、バッハの教会カンタータの全集を日本人演奏家として初めて完成させたという偉業を成し遂げた。それはSACDハイブリッド55枚組という『J.S.バッハ:教会カンタータ全集』というボックスとしてまとまり国内盤と輸入盤で発売になった。

僕も2016年に発売になった輸入盤ボックスを聴いてきた。律儀に1枚目から聴き始め、2019年の夏までにコツコツと聴き続けてきたが、やはり55枚を全部聴くのは難しい。なんとかDisc36までは聴いたものの中断した。

まあここは急がず一旦時間を置き、「なんならバッハの時代の教会暦の順番に従って聴いてみてもいいかナ」などと考えていたところに『世俗カンタータ全集』が今年(2019年)発売になったのである。『教会カンタータ全集』を全部聴いていないのに手を出すのは少々気が引けたが、これも廃盤になる前に手に入れておきたい。そして買ったらやはり聴いてみたい。ということで7枚ほど聴いてみた。


奇麗な箱に、紙ジャケットでSACDハイブリッド10枚入り。マルチチャンネルも収録。

優しく、楽しく聴ける世俗カンタータ

僕はバッハの教会カンタータや世俗カンタータには詳しくなくて、ただ音楽が好きで聴いているだけであるが、さすがに世俗カンタータだけあって、教会カンタータより優しく、楽しく、分かりやすい曲調が多い。教会カンタータの持つ“厳しさ”が一歩後ろに引いた感じがする。曲によってはバッハが微笑んでいるような作品もある。

個人的に好きだったのは、Disc1の有名な「コーヒー・カンタータ」。Disc2の「狩りのカンタータ」。これには前奏として「シンフォニアヘ長調BWV1046a/1」が付いており、これはあのノリのいい「ブランデンブルク協奏曲第1番」の編成違いの初稿である。そんなところも楽しく聴き始めることができた。

さらにDisc7の「農民カンタータ」はバロック・オペラを聴いているようで、オペラ好きには「狩のカンタータ」と同じくらい楽しめる作品だった。


ジャケットは単品で発売になっていたものと同じ絵柄。紙ジャケットだと絵の味わいがいっそう高まる。

僕のリスニングルームにちょうどいい風通しの良い音場

音質は『教会カンタータ全集』での音質をそのまま継承しているように思う。マルチチャンネルのサラウンドも同様。リアは残響音であり、フロントの自然な広がりを助ける。

このところSACDでステレオ初期の名録音が復刻されることも多く、それもオーディオ心をくすぐる構築音であるが、やはり自然な高音質を再現してくれる最新録音のSACDは替わる物がない素晴らしさである。

奇麗な空間、奇麗な音、微細な解像度、漂う空気感。何の不満のない良い音なので、高音質であることを忘れてバッハの音楽を追ったり、味わうことに費やされる。

しかしそこはオーディオ・マニアなので、バッハを味わいながら、ちょっと音質の方に注意を振り向けるのも楽しい聴き方だ。そこには待っているのは高音質、心地よい音場で毎回満足するのだが。

とくに僕のリスニングルームの広さ、スピーカーからの距離を考えると、小編成のピリオド楽器オーケストラ、小編成の合唱、そして独唱者という、このSACDくらいの音場が2chでもマルチチャンネルでも一番無理なく再生でき、室内に広がってくれるので聴きやすい。大編成のオーケストラ曲やロックのようにサラウンドが飽和状態にならず、風通しの良い空間がキープできるから心地良いのだ。

高音質盤のストックが沢山あると思って、楽しみながらのんびり聴こう

たぶん『教会カンタータ全集』よりは『世俗カンタータ全集』のほうが聴きやすいゆえ、なん回も聴くディスクは多いことだろう。それでも『教会カンタータ全集』も絶対に外せないので、聴いていない残りを聴き続けていこうと思う。

『教会カンタータ全集』(55枚組)と『世俗カンタータ全集』(10枚組)。膨大な量である。これがLPレコード時代のアーノンクールの全集なら凄く場所を食ったところだが、SACDなら2つのボックスを棚に入れておいても場所を食わない。「高音質盤のストックが沢山ある」と思えばいいし、「マルチチャンネルで聴けるSACDが手もとに沢山ある」と思ってもいい。

1枚づつ取り出しては楽しんで聴こうと思う。これだけの量なのに圧倒されない、というのはバッハだからこそである。


左が『教会カンタータ全集』ボックス(輸入盤 廃盤)。右が同じデザインの『世俗カンタータ全集』ボックス(輸入盤)

2019年12月9日

J.S.バッハ: 世俗カンタータ全集/鈴木雅明、バッハ・コレギウム・ジャパン

SACDハイブリッド10枚組/BIS/輸入盤

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2019年12月下旬発売!鈴木雅明&BCJのSACDハイブリッド79枚組+DVD 豪華ボックス

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