ボブ・ジェームス、デイヴィッド・サンボーン Double Vision[MQA-CD][24K Gold] |
香港のEvosoundが、80年代ジャズ・フュージョンの名盤『ダブル・ビジョン』をリマスターして、MQA-CDでリリース。ディスクは24KゴールドCD仕様です。
MQA-CDは、MQAに対応したプレーヤーやDACを使用することで、収録されているハイレゾ音源(MQA)を再生できます。すでに聴いている方も多いでしょう。
残念ながらSACDラボは対応機材を持っていないので、今回はCDとしてのリスニングです。それでもリマスター音源を聴くのは楽しみですし、MQA-CDをCDとして聴くのも初、これも楽しみです。
加えてMQAと同じハイレゾのWAV(192kHz/24bit)で『ダブル・ビジョン』を試聴しましたので、参考までにその感想も書き添えておきます。
本作はボブ・ジェームスとデヴィッド・サンボーンによる1986年の作品。
メンバーはボブ・ジェームス(key)、デイヴィッド・サンボーン(sax)、マーカス・ミラー(b)、スティーヴ・ガッド(ds)、ポール・ミルトン・ジャクソン・ジュニア(g)など。他に1曲でアル・ジャロウがヴォーカルで参加という豪華メンバー。
アルバムは当時大ヒットして、第29回グラミー賞〈最優秀ジャズ / フュージョン・パフォーマンス賞〉を受賞しました。
本作はアナログ録音のようです。
ライナーの英文によれば、制作にあたって、オリジナル・ステレオ・アナログ・マスターテープをステューダーA820で再生。
それを192kHz/24bitでキャプチャーし、リマスターがおこなわれました。
最初に書いたようにMQAでの再生環境がないので、通常CDとして再生しましたが、ダイナミックな音で聴くことができました。リマスターのせいもあるでしょう、結構いい音です。
初めて聴くと80年代のジャズらしい、ソリッドな音質に感じるかもしれませんが、よく聴くとアナログ録音ということもあって、ベースやドラムにアナログ感が漂います。
実際マーカス・ミラーのベースと、スティーヴ・ガッドのドラムが、このアルバムでの聴きどころで、CDでも押し出しのいい音です。
このリズム隊にかぶさるように、ボブ・ジェームスのいかにも80年代的なキーボードが色を添えます(アコースティック・ピアノになるとアナログ感がさらに増します)。
その上にデイヴィッド・サンボーンのメタリックでハスキーなサックス。リズム隊がタイトなせいもあって、サンボーンの“歌心”がより引き立ちます。
なるほど、さすがにグラミー賞を受賞しただけあって、曲は素晴らしく、演奏もいい。いい音を噛みしめつつ、ずっと聴き続けてしまいます。アル・ジャロウのヴォーカルの入る曲が中間に入っていて気分転換になります。
ロック・ファンの方にも、このメンツならスティーリー・ダンのようなテイストで楽しめるアルバムと想像してもらえるでしょう。
最後に同じハイレゾのWAV(192kHz/24bit)で聴いた感想も書いておきますので、MQAのかわりに参考にしてください。
WAVでは楽器音にワンランク上の厚が出て、音の粒だちがよりクリアになる気がします。特にマーカス・ミラーのベースのキレが増す印象を持ちました。
WAVに比べると通常CDの音は、流石にクリアさで一歩減じるわけですが、なぜか、それが逆にアナログぽい柔らかさのようにも感じられるところもあり、CDで音を追い込んでいくのも楽しみかと思います。もちろんMQAを再生できる方は両方で楽しむことができるディスクです。
2019年8月30日