ボブ・ジェームス、カーク・ウェイラム ジョインド・アット・ザ・ヒップ |
Joined At The Hip/ボブ・ジェームス、カーク・ウェイラム
Evosound/輸入盤
SACDハイブリッド ▶Tower Records |▶Amazon
MQA-CD ▶Tower Records|▶Amazon
香港の高音質レーベルEvosoundが、ボブ・ジェームス&カーク・ウェイラムの1996年作品『ジョインド・アット・ザ・ヒップ』をSACDハイブリッド化した。当時アルバムのエンジニアでミックスも手掛けたケン・フリーマンが最新リマスタリングを監修している。SACDハイブリッドと同時にMQA-CDでもリリースした。
オリジナルは1996年にワーナー・ミュージックから発売されたアルバムだ。同年10月のビルボード誌コンテンポラリー・ジャズ・アルバム・チャートで最高位第10位を記録。
タイトルの「Joined At The Hip」というのは“くっついている”という意味で、それから“いつも一緒”という意味にもなるらしい。
確かに当時ジャズ界のレジェンドになっていたボブ・ジェームスに対して、カーク・ウェイラムは若手サックス奏者だったのだが、この共演盤を聴くと対等のパートナーとして気の合ったプレイを聴かせる。他のメンバー、クリス・ウォーカー(b)、ビリー・キルソン(ds)ジェフ・ゴルーブ(g)も同様だ。録音はコネッチカットとニューヨークでおこなわれた。
1曲目はウェイラム作の「ソウェト」。最初ウェイラムのサックスはコルトレーンの「至上の愛」のような雰囲気だが、すぐにレゲエ風の曲調に変わると、やはり90年代のコンテンポラリー・ジャズ・アルバムと実感する。
カーク・ウェイラムのテナー・サックスは、ややリヴァーブがかかっているせいもあってか明るい。ちょっとアルト・サックスのような明るい音色で、曲調によってはリゾート風、トロピカル風でさえある。
一方ボブ・ジェームスの方は熟練のプレイ。小粋なアレンジやシンセが薄くかぶさるところなどは心地よい。
そのボブ・ジェームスやカーク・ウェイラムのプレイもさることながら、まずはビリー・キルソンのドラムが全体を形作っているように個人的には感じた。タイトなロック風のスネアがガッツリと刻む。曲によってグルーヴィーであり、メロウであり、ファンキーである。
音質もコンテンポラリー・ジャズ風にタイトで引き締まった音。しかし80年代のジャズほど硬く感じないのは、時は流れて90年代という時代だからか、録音技術の進歩なのだろうか。またはSACDだからだろうか。
いずれにしても各楽器の定位がよく、どの曲でも立ち位置が決まっていて、リスナーとしては安心感がある。ここからオーディオ三昧をするなら音質に耳を傾けるだろうし、音楽三昧をするのならミュージシャンのプレイを探ってみるのもいいだろう。
マリア・マルダーのヒット曲「真夜中のオアシス」のカヴァーでは、ヴォーカルが入って構成に変化を与える。ボブ・ジェームスの娘ヒラリーとカーク・ウェイラムの弟ケヴィンによるデュエットだ。あとダニー・ハサウェイの「ザ・ゲットー」のカヴァーでR&B的なノリを披露するところも盛り上がる。
最後はボブ・ジェームスのピアノで穏やかに開始される「祈り」で幕を閉じる。なおSACDハイブリッドにはボーナストラックが2曲付くが、MQA-CDは本編のみの収録である。
2019年12月26日
Joined At The Hip/ボブ・ジェームス、カーク・ウェイラム
Evosound/輸入盤
SACDハイブリッド ▶Tower Records |▶Amazon
MQA-CD ▶Tower Records|▶Amazon