クリス・ウォーカー We're In This Love Together: Celebrating Al Jarreau |
We're In This Love Together: Celebrating Al Jarreau
Chris Walker
SACDハイブリッド
レーベル:evosound
発売日:2021年4月23日
2021年8月1日 文・杉田ヨシオ
evosoudからクリス・ウォーカーの『ウイアー・イン・ディス・ラヴ・トゥギャザー』がSACDハイブリッドで発売された。ほかにMQA-CD、180グラム重量盤アナログレコードでも発売。SACDは2chステレオである。
本作は2017年に亡くなった屈指のシンガー、アル・ジャロウへのトリビュート・アルバム。アル・ジャロウの数々の名曲をカヴァーしている。
クリス・ウォーカーは1991年にデビュー。90年代はソロ活動とともにアル・ジャロウのバンドでベースとバック・ヴォーカルを担当していた。クリス・ウォーカーのアル・ジャロウへの敬愛の念は大きく、二人の絆を感じさせる。
アルバムの1曲目は「Al’s Message」。アルが死去する数日前(2017年2月)に、クリスの留守番電話にアル・ジャロウが吹き込んだ息災を知らせるメッセージ音声が収録されている。アル・ジャロウの声を聞くだけで胸が熱く込み上げる。
そこから一転、アル・ジャロウの中でも有名な「モーニング」。この曲でアルバムは本格的に始まる。クリス・ウォーカーの歌、演奏はオリジナルと同じくらいノリがよくキャッチーだ。他の曲もそうだが、本作のアレンジはアル・ジャロウのオリジナルに近いものと思う。これもアル・ジャロウを聴いてきたファンにも嬉しいところ。
クリス・ウォーカーはアル・ジャロウの歌曲を次々と歌っていく。アル・ジャロウのお箱だったスキャットも飛び出す。さらにアル・ジャロウが音楽ファンの度肝を抜いた「テイク・ファイヴ」も披露。チック・コリアの「スペイン」もアル・ジャロウにならってカヴァー。まさにトリビュート・アルバムの名にふさわしい内容だ。
バックバンドがクリスのヴォーカルを盛り上げる。演奏も一級で、デヴィッド・フォスター、マーカス・ミラー、ボブ・ジェームスら超豪華ゲストの名前を出すまでもなく、たとえクレジットがなくとも納得のフュージョン・サウンドだろう。
SACDの音はウォームでゴージャスなフュージョン・サウンド。ステレオ・システムが気持ちよく鳴っている感触を得るのではあるまいか。ブックレットによれば、ミックスはT-SQUAREの仕事でも有名なエンジニアSteve Sykes。
ジャケットは、クリス・ウォーカーのアル・ジャロウへの敬愛の念を込めた慎み深いデザインだが、サウンドは明るく、それこそアル・ジャロウが生前に残した世界、そのままである。
収録曲
We're In This Love Together: Celebrating Al Jarreau
Chris Walker
SACDハイブリッド