ビクター/JVCレーベルを彩ったDIVAたち
2025年6月16日
ステレオサウンド社がビクター/JVCレーベルの女性ヴォーカルによるコンピレーション・アルバムをSACDハイブリッドで発売した。2025年4月25日発売。
タイトルは『ビクター/JVCレーベルを彩ったDIVAたち』。ステレオサウンド(Stereo Sound)のオリジナル・ソフトである。ほとんどの曲が初SACD化だ。ディスクは音匠レーベルコート採用。
オーディオ評論家、小原由夫氏が選りすぐった女性ヴォーカルのリファレンスサウンド
本作はオーディオ評論家の小原由夫氏が選曲・構成したSACDで、小原氏が学生時代から愛聴してきたビクター/JVCレーベルのアルバムから、音質の優れたものが選ばれている。また小原氏にとって思い入れの深い曲でもあり、ライナーノートには各曲の思い出、聴きどころを小原氏がつづっている。
収録されている歌手はサリナ・ジョーンズ、阿川泰子、ヘレン・メリル、イッツ、秋本奈緒美、カーメン・マクレエ、笠井紀美子、中本マリ。
この中で小原氏が一番思入れ深い歌手はサリナ・ジョーンズなのだそうだ。このアルバムでもサリナ・ジョーンズは2曲が選曲され、アルバム冒頭と最後に置かれている。
ビクター/JVCレーベルが録音したレコードを昔聴いたオーディオファイルも多いと思うので、収録曲を見て懐かしく思う方もいると思う。白黒ながら収録アルバムのジャケット写真も載っているので、ご自身のオーディオ体験と合わせて聴いて見るのも楽しいだろう。

ビクター/JVCレーベルの女性ヴォーカルのコンピレーション
ポップスを歌っても映えるサリナ・ジョーンズ
ちなみ筆者の思い出深い歌手も、小原氏と同じくサリナ・ジョーンズである。
サリナ・ジョーンズはポップ/ロックを歌っても、声質が曲にピッタリくる歌手だ。筆者の場合はこのSACDには収録されていないが、ビリー・ジョエルの「素顔のままで」のカヴァーを、本家のビリー・ジョエル並みに愛聴した思い出があるが、このSACDでも最後に収録されたサリナの「マイ・ラヴ」は本家ポール・マッカートニーとウイングスのそれと同じくらい心に残る。
そして阿川泰子。彼女が一斉を風靡したアルバム『Sunglow』(1981年)から代表曲「スキンドゥ・レ・レ」が選ばれているところが、なんとも嬉しい。つねづねSACDで聴いてみたいと思っていた曲だ。
全9曲は、いずれもオリジナル・アナログ・マスターテープから制作されている。録音の年代を考えるとデジタル録音と錯覚しそうな曲もあるが、全曲がアナログ録音なのだそうだ。テープは2トラ/38だという。
マスタリングは小原氏の立ち会いのもと、FLAIRの山﨑和重氏が担当。ごく一部の工程を除いて基本的にはフラット・トランスファー処理とのこと。詳しいことはライナーに詳しいので参考にされたい。
SACDの音は、やはりアナログ・サウンドをハイファイで再生という感じ。繊細な音はエッジから繊細に、ベースなどの低音は厚い。バンドの音は押し出しが良い。
当時、日本のスタジオやライヴで、これらの音源が録音されたのは特筆に値する。今SACDハイブリッドでこれらを聴ける喜びは大きい。
小原由夫氏、ステレオサウンド社の制作スタッフ、エンジニアの方たちが、良い音を求めて出来上がったSACDハイブリッドと思う。
収録曲
1. アントニオの歌/サリナ・ジョーンズ
2. スキンドゥ・レ・レ/阿川泰子
3. ザ・ワード/ヘレン・メリル
4. セサミ・ストリート/イッツ
5. カム・レイン・オア・カム・シャイン/秋本奈緒美
6. アズ・タイム・ゴーズ・バイ/カーメン・マクレエ
7. レフト・アローン/笠井紀美子
8. キリング・ミー・ソフトリー/中本マリ
9. マイ・ラヴ/サリナ・ジョーンズ