コンピレーション Master 2020 Superior |
香港のMaster Musicから、今年もコンピレーションのSACDハイブリッドが発売された。今回で通算10作目となる。
今回の収録曲は、SACDラボでも最新アルバムをレビューしたシーネ・エイとステファニー・ボルツ、そしてハンナ・ボエルが2曲選曲されている。まずはこの3人がイチオシ、と言いたいところだが、他のアーティストもなかなかいい。シモーネ・コップマイヤー、メアリー・ブラックといった実力シンガー。さらに綾戸智恵、山本剛トリオという日本のアーティストも含まれており充実した内容だ。
個人的にはやはりシーネ・エイのビッグ・バンドをバックに歌う2曲が好きだ。1曲目に収録はノリのいい「To A New Day」。エイトビートの曲であるが、ジャズ・テイストが聴きたいならトラック8の「Those Ordinary Things」を聴いていただきたい。
オーストリア出身のジャズ・シンガー、シモーネ・コップマイヤーの「Wichita Lineman」も同じくらい魅了された。彼女も注目だろう。メアリー・ブラックの「Bless The Road」もカントリー・テイストで良さそうである。
日本人では、山本剛トリオのビル・エヴァンスを思わせるリリシズムに溢れたライヴが良かった。「You Don't Know Me」である。綾戸智恵はクレジットを見ずに聴けば、あいかわらず外国人シンガーかと思うほどパワフルである。綾戸智恵も2曲が収録されている。
ハリー・アレン & ケン・ぺプロフスキー & スコット・ハミルトン、3人のテナーサックス奏者が一堂に会したThree Tnenorsの演奏も楽しめた。ブライトなサウンドのなか、テナーの掛け合いでグイグイと引っ張っていく演奏は熱い。
異色なところでは、ラテン風の「Estate」で腰のすわったヴォーカルを聴かせるアレキサンドラ・シャキナ。それからフランスのベーシスト、ルノー・ガルシア・フォンスの「Tavalod」。ベースでメロディを奏でる演奏もなかなかのものだが、ワールドミュージックのような雰囲気もいい。パッケージには三つ折りの紙に、各曲を収録したアルバムの全曲目とジャケット写真が載っている。またアーティストの顔写真も載っている。このSACDを聴いてお好みのアルバムを選んでもいいし、コンピレーション自体を楽しんでもいい。そんなオトクなSACDである。
収録曲
1. シーネ・エイ / To A New Day
2. ステファニー・ボルツ / The Sound of Silence
3. ハンナ・ボエル / Holly Grail
4. 綾戸智恵 / Natural Woman
5. 山本剛トリオ / You Don't Know Me
6. シモーネ・コップマイヤー / Wichita Lineman
7. メアリー・ブラック / Bless The Road
8. シーネ・エイ / Those Ordinary Things
9. Three Tenors / The Old Black Magic
10. 綾戸智恵 / Angel Eyes
11. ステファニー・ボルツ / Bright Life
12. アレキサンドラ・シャキナ / Estate
13. ハンナ・ボエル / Nicole
14. ルノー・ガルシア・フォンス / Tavalod
2020年8月16日