モリコーネの映画音楽を、ヨー・ヨー・マのチェロで聴く
本作はイタリア映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネが、自らの作品をチェロを主体として編曲したものです。指揮はモリコーネ自身、チェロはヨーヨー・マです。
モリコーネといえば、まずはジュゼッペ・トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス』の音楽を思い出します。
いい曲だぁ~。哀愁のあるメロディは郷愁を誘います。ロッシーニやプッチーニから伝わるイタリア音楽独特の「泣き」の旋律。
これぞ、ただの映画音楽で終らないモリコーネの魅力でしょう。映画音楽(400から500作)だけでなく、演奏会用作品(約100作)も残しているモリコーネの才能が伺われます。
アルバムにはモリコーネが担当した各監督の映画音楽を編んだ「ジュゼッペ・トルナトーレ組曲」、「セルジオ・レオーネ組曲」「ブライアン・デ・パルマ組曲」などが収録されています。他に『ミッション』『レディ・カリフ』などの映画からも編曲されている。
どれもゆったりとカンタービレで歌うモリコーネ節です。
マカロニウエスタンの曲「続・夕日のガンマン」(「セルジオ・レオーネ組曲」)でさえ、雄大で勇ましいウェスタン調なのだが、どこか優雅です。
旋律を奏でるのが人間の肉声に近いチェロなので、モリコーネの特色が存分に引き立つと思う。それでも『ニュー・シネマ・パラダイス』(「ジュゼッペ・トルナトーレ組曲」)では原曲のイメージどおりピアノが旋律をかなで、チェロは対旋律に廻る。
ほかにも曲によってはチェロはオブリガードにまわるところもあり(これも聞かせる)、モリコーネは単調でない編曲をほどこしています。
マルチチャンネル
マルチチャンネルでも音は前方から。音が後ろから出るようなことはありません。それでも空間が360度に広がり、フロントに大きな音場が広がります。ヨーヨー・マの奏でるチェロがその中で味わえます。
映画音楽、とりわけモリコーネの音楽にはピッタリの空間であり、リスナーがくつろげる空間になります。
 2008.2.10
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