ロリン・マゼール指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
リヒャルト・ワーグナー:The Ring Without Words
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The Ring Without Words
A Symphonic Synthesis by Lorin Maazel
Berliner Philharmoniker
Lorin Maazel
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2000年10月17日と18日。ベルリン、フィルハーモニーでのライヴ。
音声
・PCM 2.0
・DTS-HD Master Audio Surround Sound
特典映像
ロリン・マゼールの短めの解説(5分)。日本語字幕あり。
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管弦楽による〈ニーベルングの指環〉ハイライト
本作はワーグナーのオペラ〈ニーベルングの指環〉から、管弦楽の部分を取り出してつなげたものです。
『Ring Without Words』というタイトルのとおり、歌は入っておりません。一部「ワルキューレの騎行」とかで、歌がなくて演奏しているところはありますが、ほとんどが純粋に管弦楽だけで演奏される部分をつなげたものです。
このなかには、オーケストラのレパートリーとして演奏される「夜明けとジークフリートのラインへの旅」とか「ジークフリートの葬送行進曲と終曲」なども、ちゃんと組み込まれています。
マゼールの原曲に手を加えない編曲
これを編曲したのが、指揮もしているロリン・マゼール。
特典映像のマゼールの解説(日本語字幕あり)によると、依頼を受けたとき悩んだそうですが、初心者へのガイドへの気持ちもあって製作したとか。マゼールが語る編曲の特徴は以下のとおり。
1 ワーグナーの書いた音譜以外、いっさい追加していない。
2 各曲はオペラの順番どおりにつなげてある。
ですので楽劇どおり、序夜〈ラインの黄金〉の冒頭の単音から始まり、第3夜〈神々の黄昏〉の最後「ブリュンヒルデの自己犠牲」の終曲で終わります。
自然な編曲で、長大な音楽も飽きない
実際に聴いてみますと、実にうまくつながっていて、オペラの場面を思い浮かべていくと、時間が経つのも忘れてしまいます。
それにしてもトータルで83分といえば、マーラーの交響曲にも匹敵する長さです。交響曲のように、楽章間の休憩がなくても退屈しないのですから、ワーグナーがいかに面白い管弦楽を書いているかが分かります。
ある音楽評論家が「ワーグナーは歌の部分ではなく、伴奏の管弦楽を聴いても面白い」と言ったのが理解できました。
ワーグナー初心者には入門に、ワグネリアンは名シーンを思い出して
というわけで、この『Ring Without Words』は、ワーグナーをこれから聴いてみようという方、ワーグナーは序曲くらししか聴いたことがない方に、〈ニーベルングの指環〉入門としてちょうどいいブルーレイです。
ただ演奏中、演奏しているのがどの部分なのか、クレジットは出ませんので、初心者には不安かもしれません。
でもご心配なく。ブルーレイの機能である、再生しながらポップアップ・メニューを出すことで、曲を中断することなく、トラック名を見ることができます。
画面の邪魔にならないように出てくるトラック名は、幸い英語ですので、たとえば「今は第3夜『ジークフリート』の〈森のささやきの音楽〉だな」とわかるわけです。
もちろんワグネリアンには各場面を思い浮かべて楽しめるでしょう。
ブルーレイの画質と音質
画質は「1080i Full HD 16:9」のハイビジョン。ちょっと硬質で、ハイライトが強い気がします。
個人的には、もうちょっと柔らかいほうが好みですが、観ているうちに慣れ、2000年当時のベルリン・フィルの顔ぶれをこまめに目てしまいます。
音質は2chが「PCM 2.0」。サラウンドが「DTS-HD Master Audio Surround Sound」。スペックの記述はありません。
普通は拍手で感じるサラウンド感は、あまりありませんでした。
オーケストラの音や広がりは、2000年細作のためか、ことさらハイスペックには思いませんでしたが、標準的なものだと思います。

Wagner、Maazel/Ring Without Words [Blu-ray] [Import] (2000)
 2013.3.4
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