ビョーク メダラ |
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ほとんど人声による意欲作、屈指のサラウンドも聴きもの『メダラ』は2004年の発表。ビューク5枚目の作品です。この作品は、ほとんどを人間の声だけで製作するという意欲作でした。さっそくマルチチャンネルで聴いてみました。 たしかにギターやドラムスなどの楽器はなし。曲によってはクレジットにprogrammingとあるから、打ち込みも使っているかもしれない。あとピアノとベースもクレジットにある曲もある。 しかし本作のほとんどは人間の声によって製作されています。ビョークの歌い上げる歌は、相変わらず素晴らしい。 それをビョーク自身の声、アカペラなど、いろいろなボイスがバックで支えます。荘厳で重厚なコーラスは、クレジットによればアイルランドとロンドンの二つの数人のコーラスです。 これらが、まるで暗闇から出てくるように、あちこちから聴こえます。そう、この作品はSACDマルチチャンネルを想定したかのよう。360度囲まれる、文字どおりのサラウンドです。 で、リズムをキープするのが、機械的な打ち込みの音……? と思いきや、どこかナマナマしい。調べてみると、ラップ風電子音と思っていたのは、ヒューマン・ビートボックスという人間の声による“演奏”なのでした。 そのヒューマン・ボックスで参加しているのが日本人アーティストDOKAKA。他に元ルーツのラゼル、元フェイス・ノー・モアのマイク・パットン、そしてロバート・ワイアットも参加しております。 本作は、ポップ・ミュージックとしては少し離れた作品で、前衛音楽に近い音空間ですが、ビョークの歌声が強烈なのは相変わらず。SACDマルチチャンネルとしても屈指の作品です。 2009.5.16
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