The Raven / Rebecca Pidgeon
The Raven
Rebecca Pidgeon
発売日:2025年7月25日
Chesky Records
チェスキー・レコード名盤『The Raven』SACDハイブリッド復刻を聴く
オーディオファンなら誰もが知るChesky Records(チェスキー・レコード)の名盤が、香港の「evolution」により、オリジナル・マスターを使用して復刻SACDハイブリッドとアナログレコードで復刻されます。
その第一弾として2025年7月12日に発売される注目の一枚、レベッカ・ピジョン(Rebecca Pidgeon)の『The Raven』SACDハイブリッド盤の試聴レポートをお届けします。

復刻SACDのジャケットはオリジナルと同じデザイン採用。箱ケース入り。
オーディオ・リファレンスにもなった『The Raven』
Chesky Recordsは1986年にデヴィッド&ノーマン・チェスキー兄弟により設立されたレーベルです。録音へのこだわりから数々の高音質盤をリリースしていました。そのいくつかはSACDが登場した頃にSACD化されましたが、手に入りにくい状態だったので、今回の復刻はオーディオファイルに朗報でしょう。
レベッカ・ピジョンは、イギリス生まれのシンガー・ソングライターで、繊細で透明感溢れるソプラノ・ヴォイスが印象的です。
『The Raven』は1994年、Chesky Recordsからのデビュー盤で、当時、多くのオーディオファイルの支持を受け、オーディオショーやハイエンドの試聴会で流されたそうです。
「スパニッシュ・ハーレム」のオーディオ体験

今回SACDハイブリッドを聴いてみて、清涼なヴォーカル、空気感や音の粒立ちなど、確かにリファレンス・ディスクに相応しい音質と実感しました。
まずはトラック12、ベン・E・キングのカバー「Spanish Harlem(スパニッシュ・ハーレム)」は、リファレンス曲として当時オーディオ・イベントでよく流されたそうです。
聴いてみると、確かにオーディオファイルに人気があったのも頷けます。ヴォーカルとラテンムードのベースが出てくるだけで、その場の雰囲気を支配するような音です。音数が少ないだけに、間の再生が決め手となりそうです。ハイエンドで聴いたら、その場の空気が変わるだろうと思いました。
もちろん、このアルバムの魅力は「スパニッシュ・ハーレム」だけではありません。このアルバムにはレベッカ・ピジョンのオリジナル曲がたくさんあり、魅力も大きいので、次に紹介します。
オリジナル曲の普遍性と多様な顔を見せるレベッカ・ピジョン
1曲目「Kalerka」から、いきなり曲がいい。タイトルの意味は定かではありませんが、作詞作曲はレベッカ・ピジョンです。清涼なヴォーカルと、心憎いアレンジのアコースティック・サウンドで魅了されました。
アルバムタイトルの「The Raven」はレベッカ・ピジョンの出身であるスコットランド、ケルト風の雰囲気を感じさせます。ほとんどノン・ビブラートに近い歌唱で、ヴォーカルの透明感は、筆者にはクラシックのソプラノ歌手、エマ・カークビーを連想させました。
かと思えば、「Grandmother」では、このアルバムの中では珍しい演劇的なヴォーカルを聴かせます。声質も変えているのか。こういうスタイルも手中にしている歌唱力には感心しました。
「You Got Me」はややロックより。もしもエレクトリック・ギターとドラムを入れたら、リンダ・ロンシュタットのような音楽になりそうだと、個人的には思いましたが、このアルバムは基本アコースティック楽器で演奏されています。
でも、こういうロック色を感じさせる曲を聴くとレベッカ・ピジョンがソロ・デビュー前にポップ・バンドでリード・シンガーをしていたことが頷けます。
これも個人的な感想ですが、ソロ第1作である本作は1994年作品ということで、レベッカ・ピジョンのヴォーカルを聴いていると、同じ時期に流行ったUKネオアコの音楽とどこか共通する雰囲気も感じたのです。まるでティーンエイジャーの女の子の、すがすがしくも傷つきやすい感情が宿っているような。

ディスクやパッケージには今回の復刻を手がけた「evolution」のマークも。
高音質であらためて味わう『The Raven』
最後にもう一度オーディオのことに触れると、まずはヴォーカルの清涼な音質にうっとり。くっきりと浮かび上がり、余韻が広がる音場です。
楽器の音は粒立ちよく、ピンポイントで随所に現れます。その音は自然で、楽器間の空気感もほどよいと感じました。音楽を聴かせる音場でもあり、オーディオ・チェック用の音場でもあり、双方の魅力を兼ね備えていると個人的には思います。さすがChesky Recordsの録音だと思いました。
なお輸入盤・国内仕様盤にはオーディオ評論家小原由夫氏による最新ライナーノーツが封入されています。この機会に、高音質で聴く『The Raven』、そしてチェスキー・レコードの名盤たちを体験してみてください。
2025年7月11日
トラックリスト
- Kalerka
- The Witch
- The Raven
- You Need Me There
- Grandmother
- You Got Me
- Heart and Mind
- Her Man Leaves Town
- Seven Hours
- Wendy's Style Shop
- The Height of Land
- Spanish Harlem
- Remember Me
Chesky Records 復刻 第1弾発売タイトル。
- 『The Raven』レベッカ・ピジョン
- 『Retrospective』レベッカ・ピジョン
- 『Jazz Side of the Moon: The Music of Pink Floyd』サム・ヤヘル他
- 『Entre Amigos』ローザ・パッソス、ロン・カーター
- 『Hobo』サラ・ケー
The Raven
Rebecca Pidgeon
発売日:2025年7月25日
Chesky Records
