3人態勢のザ・フーが残した2000年ライヴ
これはイギリスのロックバンド、ザ・フーの2000年、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ盤です。SACD3枚組。2枚が本編。もう1枚がボーナスディスクで、2002年、同じアルバート・ホールでの「小児癌撲滅コンサート」でのライヴを4曲収録。
オリジナル・メンバーのドラマー、キース・ムーンは70年代に他界していますので、これは3人態勢のザ・フー。ドラムはリンゴ・スターの息子ザック・スターです。もうひとりキーボードがサポートしています。
しかし、このライヴでは元気だったベースのジョン・エントウィッスルも、残念ながら2002年に他界してしまうので、ボーナスディスクともどもエントウィッスルの参加した最後のライヴ録音となりました。
初っぱなから、ハードなブリティッシュサウンド
さてザ・フー。
コンサート・オープニングはデビュー曲「アイ・キャント・エキスプレイン」。しょっぱなからエンジン全開であります。
右スピーカーから、唸りくるうピート・タウンゼントのギター。音だけでも腕をぶんぶん振り回しているのが想像できます(ジャケ写参照)。
左スピーカーは、エントウィッスルのベース。見た目、大人しそうですがディストーションのきいたベースを、リードギターに負けじと弾きまくります。
その中央にロジャー・ダルトリーのヴォーカル。やや奥にザック・スターのドラム。
ザ・フーというと60年代のバンドの印象ですが、サウンドは完璧にハード・ロックであります。しかし、メロディーは綺麗だし、随所にあらわれる内省的なところが「やはりブリティッシュ・ロック!」と思わせます。
とにかく豪快のひと言。「史上最強のロックバンド」とはストーンズに言われる言葉ですが、ストーンズにはユルイところもある。文字通り「最強」な演奏をするバンドはザ・フーのような気もします。
ザ・フーを敬愛する多彩なゲストが参加
ディスク1はザ・フーだけの演奏(最後の1曲でヴァイオリン奏者がゲストに出るが)。
ディスク2は多彩なゲストを迎えての演奏になります。最初はタウンゼントとのアコースティックセットで、ポール・ウェラーが登場。「ソー・サッド・アバウト・アス」のデュエットでは、モッズの雰囲気もバンバンにきますね。
そのあと、アメリカからパール・ジャムのエディ・ヴェダー、そしてブライアン・アダムスとゲストは続きます。
ロマンチックさと、ハードさの同居した『四重人格』からの名曲「5時15分」のあとは、オアシスのノエル・ギャラガーも登場。「無法の世界」で彼らしいリードギターを披露します。
全体的にオリジナルを大胆に拡大した演奏も多い。昔からライヴで一目おかれていたザ・フーらしさを、満喫できるライヴです。
なおボーナス・ディスクは本編と曲もダブっておらず、音も同じ感じなので、アンコールのように聴き続けることができます。3枚聴くと長い!
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2008.12.8
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