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S
ザ・ビートルズ
サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(モノラル)


The Beatles
Sgt. Peppers Lonly Hearts Club Band
MONO

Amazon (LP)

輸入盤
2014年

ビートルズのモノラルLPが復刻

 2014年に発売されたビートルズの『MONO LP BOX』(バラ売りもあり)は、デジタル技術は使わずにオリジナル・マスターテープからノイマン社製VMS80レースでカッティングされたとのことで話題になりました。
 今回は『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を、オリジナルUK盤(モノラル)と聴き較べてみました。


左がオリジナルUK盤、右が2014年モノラル盤。今回のジャケットはどのアルバムもオリジナルUK盤の紙質まで再現して大満足。ただ唯一「サージェント」と「ホワイトアルバム」だけはむずかしいようだ。 ジャケットの色がオリジナルUK盤の深みには届かない。閉じも悪いが、今はジャケット製造技術が希少だから仕方ないと思う。

オリジナルUK盤と聴きくらべて

 音質は、オリジナルUK盤のほうが、シャープでクリアな感じ。音場のヌケがいいです。
 一方、2014年モノラル盤は、オリジナルUK盤と比べると、ふっくらと暖かみのある音に感じました。ですので、オリジナルUK盤ほどの“ヌケ感”はないですが、音の厚みがあるように思ます。
 この音の性格は200グラム重量盤が影響しているのでしょうか。手に持つと、オリジナルUK盤よりもズッシリと重いです。


左がオリジナルUK盤、右が2014年モノラル盤。2014年モノラル盤のほうが、内周のカッティングするのをさけている。これは他のアルバムでも伺えた。そのぶん溝の間隔が狭くなるが、普段から内周での音の劣化が気になっていた者には、今回のカッティングほうがうれしい。

今のレコードはチリノイズがない?

 また2014年モノラル盤は、レコードのチリノイズが、まったくと言っていいほど出ないというのも、ビックリするところです。
 これは今回のレコードに限らず、現在プレスされるアナログ盤全般に言えることですが、買ってきてレコード・クリーナーで拭かなくても、ぜんぜんチリノイズがでません。昔、ナガオカのクリーナーで拭いていた“儀式”はなんだったのか……。

 ですので、この2014年モノラル盤も、「CDじゃないか」と思うくらい、ノイズレスな空間で聴けます。
 「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の最終ピアノ音の減衰部分も、ほとんどCDのように、無音な空間で聴けるのですから驚き。
 最後の、ビートルズの意味不明の言葉も、オリジナルUK盤どおりレコードの再内周の溝に入っております。


2014年モノラル盤で、最後の意味不明の言葉が入っている溝を再生しているところ。ほっておくと延々と続く仕掛けだ。フルオートプレーヤーでなくてよかった(笑)ちなみに国内盤LPではこの部分に音を入れることが許可されていなかったらしく、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」に続けるかたちで1回だけ入っていた。使用カートリッジは音のエジソン スピリッツ。プレーヤーはガラード301、アームはSME。

十分なクオリティの2014年アナログ・モノラル盤

 つまるところ、2014年モノラル盤は十分に、オリジナルUK盤の代用になるということで、“モノラルのビートルズ”“ガッツのあるビートルズ”を聴けるのでした。
 ビートルズのアルバムのなかでは、音質的には一番“ダンゴ”な「サージェント」でさえこうですから、他のアルバムは言わずもがなです。

 今回はレビューのために聴き比べをしましたが、どのアルバムも2014年盤を聴くだけで満足感があります。
 今日、UKオリジナル盤の中古価格は途方もなく高いので、まっさらな2014年盤で揃えられるのは、アリだと思います。


「サージェント・ペパー」のオマケも2014年モノラル盤についている。左がオリジナルUK盤、右が2014年モノラル盤。軍曹の切り抜きは、ボール紙の質もそっくり。2014年盤のほうが新しいだけ、色落ちがなく重厚である。左のオリジナルUK盤のレコード袋はボロボロ。1967年の発売当初は、右のような感じだったのか。まるでタイムカプセルだ。
2015.1.8